
2020年7月29日頃から、アメリカ各地に謎の種が郵便で送られてくると言う事案が起きています。その種が「ジャイアント・ホグウィード」という危険植物ではないかともっぱらの話題です。
しかし、「ジャイアント・ホグウィードの種というのはデマではないか?」という話もでています。
アメリカや日本に送られてくる謎の種は何なのか、なぜ送って来るのか、届いたらどうすればいいのか、ジャイアント・ホグウィードの種かどうかの画像検証をまとめました。
中国から謎の種が届く事案が、日米で多発
7月28日頃から、アメリカ各地で「謎の種」が郵便で届くというニュースが報道されましたが、まもなく日本でも同じような事案が発生しています。
まずは、その内容を見てみましょう。
アメリカのケース
下はアメリカの「nowthisnews」のTwitterアカウントです。
投稿を翻訳しました。
アメリカ全土において、主に中国から郵便で謎の種が届いています。アメリカ農務省は、届いても中身に触ったり、種を植えたりしないよう注意喚起しています。
引用元:上記ツイート
アメリカのニューヨークタイムズによると、27の州で「謎の種が届く」という事案が報告されているとのこと。
下はワシントン州農務省のツイート。
ツイートの翻訳は下記です。
中国からの種を受け取った人たちは、種を注文していないとのこと。もし届いても植えないで。アメリカ農務省の動植物健康検査サービスに連絡を。
引用元:上記ツイート
突然、種が中国から届いたら、お金の請求がなくても怖いし、気持ち悪いですね。
日本のケース
下は日本人で、中国からの種を受け取った人のツイート。
アメリカだけでなく、日本にも送られてきているようです。
下も、謎の種を受け取った日本人のツイート。
Amazonの登録情報が悪用されていることが伺えます。
日本では次のように報道されています。やはりAmazonが絡んでいるケースが多いようです。
「海外から謎の植物の種が届く」という声が、Twitterで複数上がっています。
特に多く見られるのは「中国からAmazon経由で植物の種が届いた」というもの。農林水産省の施設等機関である植物防疫所(※)では「海外から注文していない植物が郵送された場合は、植物防疫所にご相談ください」という警告コメントを出しています。
ちなみに、8/2現在で、日本のAmazonは、中国からの謎の種についてのプレスリリースしていません。
なぜ中国から謎の種を送りつけてくるの?ブラッシング詐欺の可能性も!
「注文していないのに、Amazon経由で中国から種が届く」という事案が日米で多発していますが、なぜ送りつけてくるのでしょう?
中国から謎の種を送りつける理由は?
封筒のサイズからして、いわゆる「メール便」のような印象ですね。
アメリカの報道によると、郵便には中身は「宝石」と書かれている場合があるようです。
偽って「宝石」と書いてあるところを見ると、送り主の「開封してほしい」という感じが伝わってきます。
「宝石」と書かれていたら、Amazonから注文していない物が届いても、開けて確認する人が多いのではないでしょうか。
下は、アメリカのホワイトハウス警察のfacebookの投稿です。
Since then we have done some researching and it does appear that these seeds are tied with an online scam called “brushing”.
(翻訳)
以後、いくつかの調査を行った結果、これらの種は「ブラッシング」と呼ばれる詐欺と関連していることが判明。引用元:上記ファイスブックより一部抜粋
「ブラッシング」というオンライン詐欺のようです。
ブラッシング詐欺とは?
ブラッシング詐欺とは、どんな詐欺なのでしょうか?
ブラッシング詐欺とは、注文していないユーザーに商品を発送することで注文番号を架空発行し、その番号を使って商品に肯定的な虚偽のレビューを書いて消費者を騙す手口のことだ。
引用元:https://news.yahoo.co.jp/articles/dac0260cafee814d3d1da5fddadd2c9711e74e01
★5つのレビューを書いて、商品を実際以上に良い物に思わせて販売する手口のようです。
Amazonがらみの中国人登録者の詐欺まがいの行為は、ここ数年いろんな手口が報道されています。
今回も、その可能性が高いかもしれませんね。
中国政府は何と言ってるの?
一方で、中国政府は次のような対応を取っています。
中国政府は、郵便物に記載された「中国郵政」の文字は偽造で情報にも多くの誤りがあるとし、郵便物を中国に戻して調査する方針を示しています。
引用元:https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000189541.html
中国郵政省の関与を否定したいようです。政府が調査に乗り出すとのこと。
調査報告がなされるか不明ですか、今後の報道を待ちたいと思います。
ジャイアント・ホグウィードはどんな植物?
この「中国からの謎の種」が、ジャイアント・ホグウィートではないか、とネットで話題になっています。
ジャイアント・ホグウィートとは、どんな植物なのでしょうか?
ジャイアント・ホグウィートは、セリ科の多年生植物で、和名は「バイカルハナウド」。
中央アジアが原産で、19世紀にヨーロッパに伝わっています。
端的に言えば、日本にとっては外来種ですね。
成長すると2mから5.5mくらいまでになる、背丈の高い植物です。
名前に「ジャイアント」がつくだけのことはありますね。
春の終わりころから夏にかけて白い花が咲きます。
有害植物で、その樹液には次のような毒性があります。
植物性光線皮膚炎を起こす
水泡ができる
長期間にわたって痕が残る
目に入った場合は、失明することもある
郵便で送られてくるのは種です。
仮にそれがジャイアント・ホグウィードだったとしても、種を触ってすぐ皮膚炎になるということはなさそうです。
しかし、種に有害な病害虫や微生物が付着している可能性もあります。
種の入っているパッケージは開けず、触らないほうが無難です。
【比較画像】中国からの謎の種はジャイアント・ホグウィードというのはデマ?
ネットでは、中国から届く種はジャイアント・ホグウィードではないかと、もっぱらの噂になっています。
しかし、種を見ると、デマの可能性もぬぐいきれません。
ジャイアント・ホグウィードの種は、黒いようです。

一方、郵送されてきた種の画像は次のようなものです。
種類が多いですね。1種類というわけではないようです。
ジャイアント・ホグウィードの種とは形状が違うものが多いようですね。
左上の黒い種が一番似ていますが、日本人にはお馴染みの朝顔の種のようにも見えます。
アメリカ、日本で調査していると思いますが、8月1日現在、「種はジャイアント・ホグウィードだった」と断定したニュース記事はありません。
また、いろんな種類の種が届くようなので、「ジャイアント・ホグウィードの種が無い」と断定することも現時点ではできません。
事実がどうかについては、今後のニュースを注視するしかありませんが、デマの可能性もあるということは念頭に置いておいたほうが良さそうです。
中国からの謎の種は、外来種の可能性があるので植えてはいけない
中国からの謎の種は、外来種の植物である可能性がそれなりにあります。
よく「池の水を全部抜く」という番組で外来種の魚などが悪者扱いにされていますね。
外来種には「侵略的外来種」と呼ばれるものがあり、これが持ち込まれると問題が起きます。
自然環境に大きな影響を与える
生態系が崩れ、生物多様性を脅かす可能性がある
例えば植物だとセイタカアワダチソウが有名ですね。
日本には1897年頃に持ち込まれましたが、そのためススキの生息場所が奪われていっています。
秋のススキ野原は、日本人の情緒に合う風景ですが、それがもう見られなくなってきているんですね。
観賞用として持ち込まれたセイタカアワダチソウは、現在日本の侵略的外来種ワースト100にも選ばれています。
侵略的外来種がいったん入ってくると、排除するのはとても困難です。
何の種か分からないものは、安易に植えないようにしましょう。
中国から謎の種が届いたらどうする?
Amazonを利用している人は、ある日突然、中国から種が届く可能性があるということですね。
届いたら、どのように対応したらよいのでしょう?
ビニール袋は開封しない
植物防疫法により、検査を受けていない種は輸入できません。
届いても、害虫や微生物、菌などが付着している可能性があるため、ビニール袋を開封しないようにしましょう。
また、種を植えないようにしましょう。
植物防疫所の連絡先は?
植物防疫所のホームページでは、海外から郵便で届く種についての相談を受け付けるとプレスリリースされています。
最寄りの植物検疫所へご連絡ください。
横浜植物防疫所:045-211-7153
名古屋植物防疫所:052-651-0132
神戸植物防疫所:078-331-2376
門司植物防疫所:093-321-2601
那覇植物防疫所:098-868-2850
まとめ
中国から謎の種が届いたら、驚いてしまいますよね。
ビニール袋は開封せず、植物防疫所へ連絡しましょう。
また、謎の種がジャイアント・ホグウィードというのは、デマの可能性がありますので、ご注意ください。