
2020年に『このミステリーがすごい!』大賞を受賞した『元彼の遺言状』。
2022年にはフジテレビでドラマ化され、第1話でポトラッチの話が出ました。
「ポトラッチとは何?」と思った人も多いのではないでしょうか。
原作小説を読みましたが、ドラマだと少し分かりにくいなと感じました。
この記事では、
- ポトラッチとは何?
- 遺言状とポトラッチの関係は?
- 富治が英治から受けたポトラッチとは?
などについて、分かりやすく解説します。
\一気読みできる面白さ/
【元彼の遺言状】ポトラッチとは何か解説!
毎晩の放送日時はこちら‼️
— 【公式】綾瀬はるか×大泉洋『元彼の遺言状』2話は4月18日放送月9 (@motokare_cx_) April 4, 2022
5日(火) 24:25~24:35
6日(水) 24:25~24:35
7日(木) 24:25~24:35
8日(金) 24:55~25:05
9日(土) 25:15~25:25
関東ローカルの放送ですが、
見逃し配信もあります#元彼の遺言状 #4月11日月曜夜9時スタート #綾瀬はるか× #大泉洋 #月9 #フジテレビ pic.twitter.com/rh7aLCf7DW
ポトラッチとは?
主人公の剣持麗子が、元彼である森川英治の遺産相続のことで、軽井沢の別荘へ行きます。
そこで英治の兄の富治と出会います。
森川富治は、文化人類学者で「贈与論」に詳しい人物でした。
英治が犯人に遺産を相続するのは「ポトラッチ」だと、富治は考えていました。
原作小説のポトラッチ解説を引用してみましょう。
「日本語で言うと、競争的贈与でしょうか。
少し単純化して説明しますと、隣り合う二つの部族がいるとします。
この部族の間で、贈り物をしあうのです。
ルールは簡単。貰ったもの以上のお返しをすること。
こうやって贈り物をしあっていくと、どんどん贈るものが大きくなっていって、どちらかがお返しをできなくなり、つぶれてしまいます」
引用元:新川帆立『元彼の遺言状』宝島社文庫
ポトラッチとは、競争的贈与なので、次第にエスカレートしていくんですね。
なぜ、わざわざそんなことをするのでしょう?
理由は、相手をつぶすためです。
相手の部族が返せなくなったら、ルール違反ということで戦闘になり、相手の部族長が殺されてしまうこともあるのです。
このように「次第にエスカレートする、贈り物の返し合い」は、日常生活でもあると富治は考えます。
例えば、「ホワイトデーには、バレンタインデーの3倍返し」みたいな慣例です。
「貰ったから、何かお返しをしなければいけない」と思ってしまいますよね。
しかし、命を助けてもらうなどの恩義を受けた場合には、どうやって返せばいいか悩ましいですよね。
遺言状とポトラッチの関係は?
富治は、英治が犯人に遺産を相続すると遺言した理由は、ポトラッチだと考えます。
- 返しきれない贈り物をすることで、犯人を潰そうとした
- 返しきれない恩をきせることで、罪悪感や後ろめたさで犯人を精神的にむしばもうとした
と推理したんですね。
英治は、株だけで1050億円の遺産を残しました。
しかも死んでいるので、「お返し」をしようがありません。
ポトラッチは、相手を潰すのが目的です。
「遺言というのは、ポトラッチを仕掛けるには最適な形態なんだ」
と富治は思ったのですね。
【元彼の遺言状】富治と英治のポトラッチ関係を解説!
#元彼の遺言状
— 【公式】綾瀬はるか×大泉洋『元彼の遺言状』2話は4月18日放送月9 (@motokare_cx_) April 11, 2022
初回放送まであと
時間
「僕の全財産は、
僕を殺した犯人に譲る」
謎に満ちた遺言状に隠された
真実とは…⁉#今夜9時スタート #綾瀬はるか× #大泉洋 #生田斗真 #月9 #フジテレビ pic.twitter.com/ohkGjjutzf
富治と英治のポトラッチ関係
富治は英治から、とても大きな贈り物を受けていました。
「救世主ベビー」という言葉が使われていましたが、少し分かりにくかったかもしれません。
森川富治は、先天的に白血球を作ることができない難病を抱えていました。
治療にはドナーが必要ですが、見つかりません。
さらには薬の副作用が強く、とても大変な子供時代だったのです。
両親は、富治の治療のために、英治をつくって産み育てます。
英治のさい帯血を治療に使って、富治は治療することができたのです。
富治を救うために生まれた英治は、森川家で大切に育てられました。
富治は命の恩人である英治に、「何か返さなくては」と思って、気持ちが落ち着きません。
英治に対して、ずっと負い目を感じていたんですね。
そして大学で マルセル・モースの『贈与論』でポトラッチを学んで、
「自分は英治から大きすぎる贈り物をもらって、
それに見合うお返しができないから、それで潰されてかけていた」
と気づいたのでした。
原作小説では、富治が自分で麗子に語ります。
ドラマでは、篠田が富治に種明かしするように語っていましたね。
富治は英治に何を「お返し」した?
富治は、自分の病気を治療するために生まれてきた英治に、罪悪感を感じていました。
命を助けられるという最大級の贈り物に、富治は何を返したかというと…
僕の財産とか、相続権とか、持分とか、そういうものを全部英治にあげちゃいました。
結構な額ですよ。さすがにそこまですると僕も吹っ切れたんですよ
引用元:新川帆立『元彼の遺言状』宝島社文庫
富治は、森川製薬の社長の長男です。
敷かれたレールの上を歩んでいれば、次期社長になる可能性が高かったのです。
しかし、約束された安泰な未来や財産をすべて英治に譲ったのでした。
そして富治は、文化人類学者という独自路線を生き、英治が森川製薬に関わることになったのです。
ドラマでは、父親の金治社長が「あいつには投資をしたのに」と言っていましたね。
富治の病気を治すために、「救世主ベビー」たる英治を妊娠するために、
着床前診断してドナーに適した受精卵を選別するなど、最先端医療技術を使ったのです。
もちろん保険適用外でしょうから、莫大な費用がかかったと思われます。
にもかかわらず、富治は会社を継がないという選択をしたので、金治は「損した」という気持ちになったようです。
【元彼の遺言状】ポトラッチまとめ
- ポトラッチとは、競争的贈与のこと
- ポトラッチの目的は、相手をお返しできないようにして潰すこと
- 富治は、英治に命を助けられて負い目を感じていた
- 富治は、英治のポトラッチで潰されないように、財産などを全て譲った