映画『罪の声』のタイトル

『罪の声』で、犯人グループは仲間割れし、生島秀樹は殺されてしまいます。

曽根達雄たちの手引きで、生島総一郎は姉・望や母と三人、夜逃げしますね。

しかし逃げたはずなのに、映画で聡一郎たちは、いつの間にか犯人の建設会社で働いています。

原作では丁寧に経緯が説明されていますが、映画では完全に省略されているんですね。

この記事では、

逃げたはずの聡一郎たちが、犯人の会社で働いた理由や経緯

について解説します。

【罪の声】仲間割れの後、聡一郎たちは逃げた

ギン萬事件の犯人グループ「くら魔てんぐ」には、9人のメンバーがいました。

元滋賀県警の刑事だった生島秀樹は、犯行を思い立った中心的な人物です。

しかし、寄せ集めのグループだったため、途中で仲間割れ

生島秀樹は、青木龍一に殺されてしまいます。

生島秀樹を兄のように慕っていた曽根達雄は、生島秀樹の家族を助けようとしますね。

生島秀樹の妻と子ども二人は、晩ごはんを食べかけのまま、大急ぎで夜逃げしました。

曽根達雄は、300万円の金を生島の家族に渡し、当面のお金の工面もしてあげています。

かなりインパクトのあるシーンなので、「何とか助かった」と思った人は多いのではないでしょうか。

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【罪の声】逃げた聡一郎たちが犯人の会社で働いた理由はなぜ?

滋賀の自宅を夜逃げした後、三人はどうなったのでしょう?

ここら辺が、映画では省略されており、ちょっと分かりにくいんですね。

原作を知らないと、「逃げたはずなのに、どうして犯人の会社で働いてるんだろう?」と不思議に思うはずです。

そして、小説と映画では、少し物語が違っています。

小説では、三人はまず、山下満の愛人の奈良の家に転がり込んでいます。

山下満は、「くら魔てんぐ」の一人で、生島秀樹の高校の後輩。

産廃業者で働いていたので、青酸ソーダを調達した人物です。

山下の愛人は驚きつつも、事情が事情なので三人を受け入れます。

しかし、お互いやりづらいですよね。

最後は愛人が聡一郎たちの金を盗もうとしたのがバレて、聡一郎たちは2カ月ほどで奈良を出ることになります。

その後三人は、兵庫県の建設会社の家族寮に移ります。

部屋は四畳半と六畳の2DK

母親の千代子は昼間は会社で働き、夜はスナック勤めでした。

望と聡一郎は学校に行けず、望はスナックの皿洗いなどをやっていたんですね。

この兵庫にいる時に、望が同級生に会おうとして、「キツネ目の男」に殺されます

望の死後、母親の千代子は聡一郎を連れて、京都の実家にいったん帰るんですね。

しかし、

  • 望が死んだことを知らせなかった

  • どうして望が死んだのかも話さない

という態度の千代子に、両親は怒って家に住まわせてくれなかったのです。

行く当てもなく、生活がひっ迫した千代子は、青木龍一の建設会社で働きます

青木龍一は「くら魔てんぐ」の一人で、生島秀樹を殺した人物。

インテリヤクザで、フロント企業として不動産や建設会社を経営していました。

どうして青木龍一のところで働くのか、不思議ですよね。

実は、青木はもともと千代子の父親の知り合いでした。

逆に言えば、そのつながりで生島秀樹は、県警在職中から青木龍一を知っており、ギン萬事件の話を持ち掛けたのです。

青木龍一たち「くら魔てんぐ」からすると、警察につかまるリスクの高い殺人は、なるべくしたくないわけです。

引き替え、生活を人質にして、自分の会社で働かせる方が

  • 監視できる

  • 給料も最低限でいい

と、楽だったんですね。

母親の千代子は平日の昼間働き、聡一郎は土日にバイトをしています。

しかし、バイト料はほとんど組員に巻き上げられていました。

また、千代子としても「娘を殺した人物の会社で働いている」という事実は重く、とても人に相談できません

望が殺された時に脅されたこともあり、千代子と聡一郎は長いこと「おとなしく」暮らしていました。

しかし聡一郎は、兄と慕っていた津村と、会社に放火して逃亡します。

聡一郎がいなくなると、千代子は「もう守らなければならないものがない」という状態になりました。

警察の事情聴取が終わると、そのまま会社の寮には帰らず、金沢の旅館に住み込みで働くようになるのです。

映画では、「奈良の愛人宅の居候」「兵庫の建設会社」の部分が省略されています。

聡一郎たちが、青木の会社で働くのは、望が死んだ後です。

しかし映画では、

  • 望が死ぬ前から青木の会社で働ていることになってる

  • 働くことになった経緯を説明していない

ので、ちょっと話が分かりにくくなってるんですね。

映画『罪の声』は登場人物も多く、話の展開が速いので、分かりにくいところがあります。

犯人グループの相関図や、仕手の仕組みなどは、別の記事にまとましたので、ご参照ください。

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【罪の声】逃げた聡一郎たちが犯人の会社で働いた理由のまとめ

生島秀樹が殺害された後、残された聡一郎たちは、曽根達雄たちの手引きで夜逃げします。

しかし映画では、途中の経緯が省略されているので、「逃げたはずなのに、犯人の会社で働いているのはどうして?」と思った人も多いと思います。

経緯や理由としては、

  • 1984年11月14日、滋賀の自宅を夜逃げ

  • 2カ月ほど、山下満の愛人の奈良の家に居候

  • 奈良の建設会社の家族寮で、三人で暮らす

  • 望が殺された後、母親の京都の実家へ行くも、住めず

  • 生活に困って、犯人の青木龍一の建設会社で働く

  • 青木も聡一郎たちを監視できるメリットがあった

  • 母親は、娘を殺した犯人の会社で働いていると、他人に相談できなかった

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