映画『22年目の告白』で、牧村刑事の妹・里香が絞殺されます。
死ぬ前に里香は、何か言いましたが、音声がほとんど聞こえませんでした。
「里香は、なぜ殺されたの?」
「里香は、最後に口パクで何と言ってた?」
と、多くの人が思ったのではないでしょうか。
先に結論を言うと、犯人が里香を殺したのは、「自分自身と似てる、同じだ」と思ったからです。
里香の最後の言葉を聞いて、犯人は「自分と同じだ」と思い、殺したのでした。
犯人は多くの人を殺しましたが、自分自身も死にたいと思っていたのです。
この記事では、
- 牧村里香は、最後に口パクで何と言った?
- 牧村里香は、なぜ殺された?
について、考察をまとめています。
映画の重大なネタバレも含まれますので、ご注意ください。
【22年目の告白】里香が口パクで言った最後の言葉は?
今日は #恋人の日 里香を思いやる拓巳、この若い恋人同士が事件にどう関わっているのか… 気になる方は是非劇場まで! #野村周平 #石橋杏奈#22年目の告白 https://t.co/7L8uh6ZflD pic.twitter.com/BTtec6hI04
— 映画『22年目の告白ー私が殺人犯ですー』 (@22kokuhaku) June 12, 2017
里香が殺された理由は、里香が最後に言った言葉がきっかけになっています。
まず、里香が何と言ったか、映画と小説と両方を確認しましょう。
映画版では、犯人がラストでこう明かしています。
君の婚約者は最低だった。
あの女が殺される前最後に何を言ったか教えてやろう。
「震災で亡くなった人たちと一緒に死ぬべきだった。
わたしひとり幸せになる資格はない」
そう言って死を望んだんだ。
冷めるよな、いやー冷めたよ。
はじめから生きる気力のない人間を殺しても、何も救われない。
まあでも、そのおかげで今の君いるんだとしたら、
あれも無駄でもなかったってことか。
引用:映画『22年目の告白-私が殺人犯です-』
映画版では、
「震災で亡くなった人たちと一緒に死ぬべきだった。
わたしひとり幸せになる資格はない」
と言っています。
小説版では、「震災で亡くなった人たちと一緒に死ぬべきだった」とだけ言っています。
映画の方が、ちょっと長いんですね。
なので、映画の方が里香がいかに生きる気力を失い、死にたがっていたかが分かりやすいと思います。
【22年目の告白・考察】里香はなぜ殺された?犯人も同じ気持ちだったから!
ブログの序文で述べましたが、
牧村の妹・里香が殺されたのは、真犯人の仙堂俊雄が自分自身と重ね合わせたからです。
里香の「震災で亡くなった人たちと一緒に死ぬべきだった」という言葉を聞き、
「自分と同じ気持ちなのだ」と仙堂は思ったはずなのです。
看護師だった里香は、震災の時に机の下に隠れて無事でした。
しかし、担当していた老人たちは死んでしまいました。
「他の先輩たちみたいに、しっかりしてたら」
「自分は逃げて、生き残ってしまった」
という自責の念から、生きる気力を失い、死ぬことを望んでいました。
真犯人の仙堂俊雄も、同じく「あの時、自分は死ぬべきだった」とラストで言っています。
中東の戦場で、友人が目の前で殺されて、自分だけが助かったことに、苦しんでいたのです。
自分も友人と一緒に死ぬべきだったのに、という思いがあったのですね。
ラストで仙堂は曾根崎にこう言います。
本当なら、あの日死んでいたはずなんだよ。
待っていたんだよ、死ぬことを。
お前のあの無気力な恋人と同じようにな。
引用:映画『22年目の告白-私が殺人犯です-』
そして、仙堂を絞め殺そうとする曾根崎を
「そうだ、絞めろ!俺があいつにやったように」
とそそのかすのです。
仙堂は何人もの人を殺しましたが、「死にたい」という思いも強くもっていたのです。
仙堂は、曾根崎に「君は鏡像だ。鏡に映ったもう一人の私だ」と言いました。
仙堂は、里香のことも「もう一人の私だ」と思ったはずなのです。
仙堂は、自分を殺すように、里香を殺したのではないでしょうか。
また仙堂は、里香を「君の婚約者は最低だった」と言っていることから、
「生き残った人間は、懸命に生きなければならない」
と思っていたことも伺えます。
頑張っていない里香を罰する思いもあったかもしれませんね。
仙堂は、「目の前で大切な人が殺される」という体験を、他人にも強いました。
東京連続絞殺事件では、1件目~4件目は家族などの目の前で、絞殺しています。
5件目だけ手法が違うのは、仙堂が牧村航に復讐するために襲ったからです。
わざわざ爆発するように仕掛けたのは、
- 遠くのアジトからも見えるようにするため
- より確実に殺すため
だったのでしょう。
4件目までの状況からすると、里香は殺される予定はなかったのではないかと思います。
けれど、里香が「あの時、自分は死ぬべきだった」と言ったので、
仙堂は自分のトラウマと痛みを刺激されたのではないでしょうか。
「自分を殺して楽になりたい」という思いが、自分そっくりな里香に向けられたのでしょう。
だからこそ、里香を殺すことは
「冷めるよな、いやー冷めたよ。
はじめから生きる気力のない人間を殺しても、何も救われない」
とも言ったのです。
仙堂が連続殺人事件を起こした動機と、表裏一体になっている思いですよね。
『22年目の告白–私が殺人犯です–』は、本当によく練られた、深いストーリーだと思います。
真犯人の動機については、別の記事にまとめたのでご参照ください。
【22年目の告白】解説・考察記事の一覧
【22年目の告白】里香が殺された理由と口パクの言葉まとめ
- 里香は、死ぬ直前に「震災で亡くなった人たちと一緒に死ぬべきだった。わたしひとり幸せになる資格はない」と言った
- 里香が殺されたのは、真犯人の仙堂俊雄が「自分自身とそっくり同じ」と思ったから
- 生き残ったのに頑張って生きてない里香を罰する思いもあった
- 仙堂俊雄は、友人が目の前で殺された時に「自分も死ぬべきだった」と思い、重いトラウマを抱えていた
- 仙堂俊雄には、死にたいという気持ちがあり、自分を殺すように里香を殺したと考えられる