スピルバーグ映画『E.T.』では、後半でエリオットとE.T.が病気になります。
E.T.は体が白くなり瀕死状態でしたね。
この記事では、
- E.T.は、何の病気?
- E.T.は、なぜ病気になった?
- E.T.はどんな治療を受けた?
- エリオットは、なぜE.T.と脳波が同調した?
について、解説と考察をまとめています。
映画ETは敗血病or老衰?なぜ病気になった?
E.T.は敗血症を発病した?
映画の後半で、E.T.は体が白くなって瀕死状態になります。
しかもエリオットも発熱して具合が悪くなってしまいました。
一体、どんな病気になったのでしょうか?
治療にあたっていた医師は、「敗血症か?」と言っていましたね。
敗血症とは?
敗血症とはどんな病気なのでしょう?
- 細菌に感染することで起こる生体反応
- ブドウ菌や大腸菌などで起こることが多い
- 組織障害や臓器障害を起こすため、集中治療室での治療が必要
- ショックが大きく、臓器障害が重い場合は、死亡することも
敗血症は、様々な症状が現れます。
- 発熱や悪寒
- 皮膚が冷たくなり湿り気を帯びる
- 意識が混濁する
- 息切れや頻呼吸
- 頻脈
症状が全身に及び、臓器などにも不全症状が出るんですね。
敗血症の治療方法は?
敗血症の治療方法として、次のような処置がとられます。
- 抗生物質を投与
- 血圧と酸素濃度維持のために、酸素投与と大量の輸液投与
- 場合によって、人工呼吸器や人工透析など行う
人間ならともかく、宇宙人の臓器がどうなってるかとか分からないので、治療はかなり難しそうです。
E.T.はなぜ病気になった?
E.T.はなぜ病気になったのでしょうか?
小説には、次のようなくだりがあります。
地球の大気の中では彼はそう長くは生きられないだろう。
地球の引力は彼を苦しめる。
引力に抗して地面に足を踏んばれば、やがて彼の背骨は曲がってしまうに違いない。
筋肉は弛緩して、彼はぶよぶよのお化けトウナスと変わりない姿で、どこかの溝で発見されることだろう。
星間に研究の舞台をひろげた植物学者の何と哀れな最期であろう。
引用元『E.T.』W.コツウィンクル/池央耿訳
E.T.にとって、地球の引力はかなりの負担なんですね。
そして、E.T.は優れた植物学者であることが分かります。
宇宙船の中にも温室があり、地球の植物がたくさんありました。
小説では、E.T.たちが宇宙食を丸薬にして食べていると書いてありました。
形が似てて美味しいのが、M&Mのマーブルチョコだったんですね。
エリオットの家に来てからのE.T.はあまり栄養もとれていない状態だったのです。
映画では、森の空地へ通信機を設置した後、E.T.は川の中に横たわった姿で発見されます。
体は真っ白で、その後は瀕死状態でしたよね。
しかし、小説では展開が少し違うのです。
E.T.は川の中で横たわっていましたが、「水の音を聞いていただけ」でした。
具合が悪くなっていったのは、実は寿命が尽きかけていたから。
もともと高齢だった上に、地球の重力が体に負担で衰弱したんでしょうね。
E.T.は病気なのか老衰なのか?
こうしてみると、映画と小説ではE.T.の病気は少し違うようです。
映画だと、医者が「敗血症か?」と言っていました。
ちなみに小説には、このシーンはありません。
映画だと、「川に入ったE.T.が何かの細菌に感染して、敗血症になった」という筋書きのようです。
一方、小説だと「高齢でまともな食料もない上に、地球の重力が負担となり、E.T.の寿命が尽きかけた」という話になっています。
ちなみに、小説だとE.T.の体はどんどん重くなっていきます。
なぜかというと、E.T.の体自体がブラックホールになりつつあったからです。
このままだと、エリオットたちを巻き込むし、下手すると地球を破滅させてしまうと、E.T.は焦るんですよね。
しかしラストは何とか生き返って、事なきを得ました。
「なぜ生き返った?」については、別の記事にまとめたのでご参照ください。
ETが生き返った理由は船長の救命!なぜ瀕死で白くなったのに元気に戻った?
E.T.はどんな薬を処方された?
映画では、医師が投与した薬の名前を言っていました。
どんな薬だったか、確認してみましょう。
- リドカイン(速効性で強力な局所麻酔薬)
- エピネフリン(要するにアドレナリン。血圧を上げる)
- ベリチウム(食べ物の消化促進)
- 塩化ナトリウム溶液 2.7%(生理食塩水)
- 酸素を毎分5リットル
- 蘇生措置で毎分60回心臓マッサージ
ベリチウム投与についてはよく分かりませんが、全体的に血圧がどんどん下がって心停止したことが分かりますね。
生理食塩水として、塩化ナトリウム溶液を投与していますが、2.7%です。
人間の生理食塩水は0.9%なので、かなり濃度が高いですよね。
E.T.の体液が、2.7%なのだろうと思います。
ちなみに、映画に登場する医師や看護師は、本当に医師や看護師だったそうですよ。
なぜエリオットはE.T.の脳波にシンクロした?
不思議だったのは、エリオットとE.T.の脳波グラフが完全に一致していたこと。
しかし途中から、脳波グラフが別れて、エリオットは回復し、E.T.は心停止します。
エリオットとE.T.に何が起きていたのでしょうか?
理由は、小説に書かれています。
E.T.は、テレパシーを使うのが得意なのです。
それも、人間に対して一方的にテレパシーのスイッチをONにしたりOFFにしたりできるのです。
小説だと、かなり初めの段階からエリオットとE.T.はテレパシーで繋がっています。
それも頭の中で会話するという形ではなく、
「E.T.の考えていることが、何となくエリオットに伝わる」とか
「夢で見る」とか、ちょっとふんわりした感じで伝わるんですよね。
映画だと、エリオットが授業でカエルの解剖を妨害するシーンがありました。
エリオットは、女の子とキスしましたね。
同時進行で、E.T.は昼ドラを観ていました。
昼ドラの内容と、エリオットの動きがシンクロしていました。
E.T.が興味深々で観ていた昼ドラが、テレパシーで伝わり、エリオットは無意識に同じ動きをしたのです。
映画だと、説明がないので気づきにくいですが、
ETとエリオットは、テレパシーで繋がってる
という伏線だったのです。
小説だとETは「しまった、テレパシー切り忘れてた」みたいに慌てる場面があります。
ずっとつながってると、ETの意識がエリオットに流れ込むので、エリオットの負担になるんですよね。
実はこのような前置きがあった上で、集中治療室の「脳波が一緒だわ」というシーンにつながっていたのでした。
集中治療室でのエリオットは、医師たちに「E.T.に触ると死んじゃうから、触らないで」と何度も言っています。
一方のE.T.は、「ココニイテ エリオット イカナイデ」と言いました。
お互いの状況がよく分かっていたようです。
そしてE.T.が「イカナイデ ココニイテ」と言った後に、エリオットは持ち直しています。
E.T.の指や胸は光っていませんでした。
E.T.が治癒の能力を使ったわけではないようです。
E.T.がエリオットに何をしたのか、小説での場面を見てみましょう。
ETはかすれていく意識の中で最後の知恵を絞り、かろうじて一つだけ手を打った。
死の世界へ足を踏み入れるその刹那、彼は背後に盾をかざして、追いすがる少年の道を絶ったのだ。
引用元『E.T.』W.コツウィンクル/池央耿訳
具体的ではないのでちょっと分かりにくいですね。
おそらく、E.T.はエリオットが自分に同調しないよう、テレパシーのスイッチを切ったのでしょう。
まあ、E.T.が昼ドラのキスシーン観てるだけで、クラスの女の子とキスしてしまうエリオットなのです。
E.T.とはかなりシンクロしていたので、瀕死状態にも同調してしまったのでしょう。
もともとエリオットは「森で一晩過ごして風邪ひいた」くらいの具合の悪さだったはずなのです。
E.T.とのシンクロが止まると、元気になったんですね。
映画ETの病気まとめ
E.T.の病気について、映画の医師は「敗血症か?」と言っていた
敗血症は、細菌に感染することで起こる生体反応のこと
- 小説では、高齢で地球の重力が負担になって、E.T.が衰弱していく展開になっている
エリオットとE.T.の脳波がシンクロしていたのは、E.T.とテレパシーで繋がっていたから