映画『ザ・ファブル』のタイトル

人気シリーズ2作目『ザ・ファブル殺さない殺し屋』では、NPO団体の代表を装いながら、ニワトリビジネスを手掛ける宇津帆と、脚が不自由な佐羽ヒナコが登場します。

かなり複雑な関係であり、二人の感情も割り切れないものがありますよね。

特に、ラストのヒナコを見て、

「なぜ、親の仇が死んだのに、手を合わせるの?」

と思った人も多いのではないでしょうか。

この記事では、

  • 宇津帆と佐羽ヒナコの関係は?
  • 宇津帆は、なぜヒナコの両親を殺した?
  • ヒナコは、なぜ死んだ宇津帆に手を合わせた?

について、考察と解説をまとめています。

【ザ・ファブル殺さない殺し屋】ウツボとヒナコの関係は複雑?

ヒナコはウツボのお気に入り

佐羽ヒナコは、ひと言でいえば「宇津帆のお気に入り」でした。

映画冒頭では、ホテルから出てくる売春婦の女の子たちが複数いました。

しかし、宇津帆が四六時中そばに置いたのは、ヒナコひとりです。

宇津帆は、かつて弟たちと一緒に売春組織で荒稼ぎしていました。

家出少女だったヒナコを風俗に売るつもりだったようです。

けれど、4年前にファブルから自分以外のメンバーを殺害されてしまいます。

事件に巻き込まれて脚に障害が残り、車いす生活になったヒナコに、宇津帆は執着します。

両親を殺された上に障がい者となり、行くところがないヒナコを、表向きはNPOの従業員にしました。

宇津帆はヒナコと同居し、車いすを押すなどの世話もして、一緒にいることが多かったです。

映画では、割と嬉々として世話してる感じでしたよね。

ヒナコに依存させていたようにも見えましたし、強い執着も感じられました。

宇津帆は、ヒナコに性的な関係を強要していましたが、逃げ場がないヒナコは諦めていたようです。

宇津帆とヒナコの関係をまとめると、

  1. 売春組織の元ボスと被害者
  2. 親殺しの犯人と被害者
  3. NPOの代表と職員
  4. 同居人
  5. 障がい者と介助者
  6. 性的な加害者と被害者

など、いくつもの見方ができる複雑な関係ですが、基本的にはヒナコと宇津帆は、被害者と加害者の関係です。

しかし、ヒナコが宇津帆が売春組織のボスだと知ったのは、ラストの山の中のはず。

地雷を爆発させたシーンで、ヒナコが過去を回想します。

駐車場から落ちて車いすになったヒナコに、病院で宇津帆が「はじめまして」と名刺を差し出すシーンがありました。

ヒナコは、売春組織のボスが宇津帆とは知らず、NPOの代表と長らく思っていたはずです。

けれど、鈴木とか井崎とか、およそ子どもの支援団体には似つかわしくない男たちがいました。

なので、ヤバイ仕事をしているようだとは薄々勘づいていたでしょう。

ヒナコが「宇津帆が親を殺し、売春にもからんでいた」と知ったのは、宇津帆が親殺しの理由を語った時です。

なので、ヒナコは4年間、宇津帆が加害者だとは知らなかったのですね。

「表向きは、子ども関連のNPO代表だけど、裏ではヤバそうなことやってそう」くらいの認識だったと思います。

ウツボがヒナコの両親を殺した理由

映画の終盤で、ヒナコの両親を殺したのは、宇津帆だったことが分かります。

宇津帆によると、「売春組織のことを警察にしゃべられるとマズイからさ。親を殺してお前をびびらせようと思ったんだ」というのが理由でした。

 警察につかまらないようにするためだったんですね。

また、ヒナコが逃げ出さないようにというのもあったのではないかと思います。

親まで殺害していることから、ヒナコが一度は逃げようとしたのかもしれません。

映画の終盤では、ヒナコの両親の最期の様子も明かされましたが、むごかったですね。

宇津帆がヒナコを挑発するように、親の死に際を語ったのは、ちゃんと目的があったと思います。

別の記事にまとめたので、ご参照ください。

最後にウツボはなぜ自分を撃たせた?2つの理由を考察!

ヒナコが死んだウツボに手を合わせた理由

映画のラストで、宇津帆がわざと自分を撃たせて死んだ時、ヒナコは合掌していました。

死者に手を合わせるということは、冥福を祈ったということでしょう。

ヒナコは、両親を残虐なやり方で殺されました。

復讐がヒナコの生きがいで、直前までは「このゲス野郎」と叫んで、自分で殺そうとしていました。

「それなのになぜ、手を合わせるの?」と不思議ですよね。

あまりにもショッキングなことが連続すると、人は奇妙な行動をすることがあります。

「ショックが強かったからかな?」と思いましたが、映画なのでちゃんと理由があると思うんですよね。

宇津帆は、最後にわざと自分を撃たせて死亡しています。

ヒナコは、宇津帆にかねてから「親を殺した犯人に復讐したい」と言っていたようです。

アキラはヒナコに「自分が撃たれるように仕向けたんだ」と教えました。

宇津帆の死に方を見て、ヒナコの気持ちを汲んで死んだと感じたからかもしれません。

防弾チョッキを着ていたものの、一度は銃で宇津帆を撃っているので、ある程度気が済んだとも考えられます。

また、ヒナコと宇津帆の関係が、複雑だったことも影響していると思います。

宇津帆は、ヒナコを風俗で働かせようとした悪人でしたし、性的な関係も強いていました。

その一方で、ヒナコの生活の面倒も見て、世話をしていました。

ヒナコとしては、「宇津帆は、360度どこから見ても悪人」と言い切れない気持ちがあったのかもしれません。

アキラに宛てた最後の手紙で、ヒナコは自分の境遇について「世間知らずで自業自得」と言っています。

「そんなに自分を責めなくても…」と思いますが、「自分が悪かったから」という納得の仕方をしているようです。

宇津帆だけを責める気持ちではなかったようなので、手を合わせたのかもしれません。

また、映画としては、「ヒナコは変わった」という姿を表現したかったのかなと思いました。

(親の仇や自分を苦海に沈めた男の死に、手を合わせることを「成長」と言うのは抵抗があるので、「昔とは変わった」という表現にします。)

過保護でわがままに育った、ある意味宇津帆の「ニワトリビジネス」の対象だったヒナコが、自分を見つめられるようになった、という演出のように思いました。

でも、「ゲス野郎!」と叫んで宇津帆を撃ったヒナコなので、短時間での変わりように、視聴者は驚き戸惑ってしまいますよね。

そして、性的被害に遭った女性たちが、この映画を観て「自分があんな目に遭ったのは、自業自得なんだ」と思ってしまわないか、心配になりました。

制作側には、映画の影響力をもっと考慮してほしかったです。

宇津帆が、最後に自分を撃たせた理由は、手榴弾のピンを抜かなかった理由については、別の記事をご参照ください。

最後にウツボはなぜ自分を撃たせた?2つの理由を考察!

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【ザ・ファブル】考察・解説記事の一覧

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【ザ・ファブル殺さない殺し屋】ウツボとヒナコの関係まとめ

まとめ
  • 宇津帆とヒナコの関係は、いろいろな側面があるが、基本的には加害者と被害者

  • 宇津帆がヒナコの両親を殺したのは、ヒナコが売春組織について警察に話さ脅すため

  • ヒナコが、死んだ宇津帆に手を合わせたのは、宇津帆から世話になったという思いや、「ヒナコが以前とは変わった」という演出と考えられる

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