映画『バケモノの子』は、蓮の母親が交通事故で亡くなり、親戚に引き取られそうになるところから始まります。
親戚を嫌う蓮は、家を飛び出して渋谷をうろつくストリートチルドレンに。
両親は離婚しているということでしたが、家族3人の写真は仲良さそうでしたよね。
「蓮の両親はなぜ離婚したの?」と気になる人も多いでしょう。
映画や漫画では離婚理由に触れられていませんが、小説には経緯が少し詳しく書かれています。
また、戸籍から父親の現住所が判明するというシーンがありました。
戸籍のしくみをいろいろ調べてみたところ、両親が離婚して母親が親権をとったのに、蓮は父親の苗字のままのようなのです。
「家系唯一の男子で、大事な跡取り息子」なのに、不自然ですよね?
この記事では、
- 蓮の両親が離婚した理由は何?
- なぜ戸籍から父親の現住所が分かった?
- 離婚したのに、蓮が父親の苗字なのはなぜ?
について、解説します。
【バケモノの子】両親の離婚理由は?
映画や漫画では、蓮の両親が離婚した理由は、明らかにされていません。
けれど小説には、少し詳しく経緯が書かれています。
蓮の両親が離婚したのは、母親の親戚が無理やり別れさせたからです。
小説には、次のことが書かれています。
- ある日突然、本家の親戚たちが弁護士を連れて、アパートにやって来た
- 叔父が大声で怒鳴りつけ、無理やり両親を、別れさせた
- 理由は、蓮が「家系唯一の男子で、大事な跡取り」であるため
- 母親は、いつものようにずっと泣いていた
- 父親は、母親が泣いているのに何もせず、離婚を受け入れた
両親の離婚の話し合いの場には、蓮もいて一部始終を見ていました。
本家の親戚たちよりも、ふがいない父親に腹が立ったと言っています。
だから、引っ越しの日に「あんたたちも、父さんも、大嫌いだ!」と言っていたのですね。
細かいところまで記憶していることから、そんなに幼い頃だったというわけではないようです。
小学校に上がるタイミングでの離婚だったのかもしれませんね。
引っ越しの時の部屋は、離婚後に移り住んだマンションか何かのようです。
親子3人で住んでいたアパートとは違います。
映画では、父親が母親の交通事故死を知ったのは、ずっと後になってからと言っていました。
親戚は、父親が蓮を引き取ると言い出すのを恐れて、知らせなかったのでしょう。
お葬式にも呼ばなかったようですから、ひどい話です。
引っ越しのシーンは、映画も漫画も小説も同じ内容でした。
親戚が何と言っていたか、確認してみましょう。
- 裁判所で母親に親権が認められた(調停か裁判を行ったもよう)
- 母親は、交通事故で死亡
- 本家が蓮の後見人となる
- 蓮を、何不自由なく育てるつもり
話からして、本家は裕福な家のようです。
映画では言及されていませんでしたが、小説では「都心に不動産をいくつも持つ裕福な家」と説明してありました。
都心にいくつも不動産を持ってるのなら、おそらくビルのオーナーなのでしょう。
要するに、資産家なのですね。
【バケモノの子】離婚させるなら、なぜ結婚させた?
すこし怪訝に思うのは、本家の親戚たちは力ずくで離婚させるくらいなら、そもそもなぜ結婚を許したのでしょう?
考えてみて、3つの可能性があると思いました。
- 蓮の両親は、親戚に内緒で入籍した
- 反対されると思ったので、計画的におめでた婚
- 両親が結婚した時には、とくに跡継ぎ問題がなかった
(結婚してから、跡継ぎ予定の男子が急死)
蓮の両親は、どちらも気の弱い人たちのようです。
1よりは2、2よりは3の方が可能性が高いような気がします。
また、「家系唯一の男子」と言っていたことから、娘はいそうです。
「娘婿でも取ればいいのでは?」とも思いましたが、そうすると『バケモノの子』の話が進まなくなるのでしょうね。
【バケモノの子】戸籍から父親の現住所&蓮の苗字の謎が浮上
映画では、17歳になって人間界へ行った蓮が、図書館で女子高生の楓と出会います。
楓は蓮に勉強を教えるようになり、大学を受験しないかと勧めました。
「高認」という試験(昔の大検)を受けるために、住民票が必要だと役所へ行った2人。
戸籍係が教えてくれたのは、
- 元の住民票は、職権で消除されている
- 戸籍の附票に記録があるので、新しく住民票登録できる
- 父親の現住所
でした。
ちなみに、役所の戸籍係の職員の声は、小栗旬さんでしたね!
住民票の職権消除とは?
蓮の住民登録が、「職権で消除されている」というのは、どういうことでしょうか?
次のような場合は、自治体の職権で住民票から登録を消除することができます。
- 登録の住所に住んでいない
- 親族や同居人、近隣住民、家屋の所有者や管理人から申し出
- 郵便物が「宛先不明」で差し戻され、登録住所に住んでいない
蓮の場合は、おそらく親戚が役所に申し出たのでしょうね。
ちなみに、「失踪宣言」が出ている場合は、戸籍では「死亡者」として扱われることになります。
行方不明になって7年たつと、家庭裁判所に申し出れば「失踪宣言」が出るんですね。
そうすると、戸籍上は「認定死亡」となり、戸籍から抹消されます。
蓮が渋天街へ行ったのは9歳で、人間界へ戻ってきたのが17歳。
明らかに7年以上たっています。
しかし、さすがに親戚も、戸籍抹消まではしなかったようです。
戸籍の附票で父親の住所が分かった
映画では、戸籍を調べて蓮の父親の現住所が判明しました。
「戸籍の附票」という、聞きなれないお役所用語が出てきましたね。
「戸籍の附票」とは、
- 本籍地の自治体で、戸籍の原本と共に保存されている書類
- 戸籍がつくられてから現在までの住所が記録されている
書類なのです。
このことから逆算すると、
父親は、離婚後も本籍地を変えなかった
ことが、分かります。
母親が親権を持ってたのに、なぜ父親の住所が戸籍に載ってた?
戸籍の附票から、蓮の父親の現住所が分かりました。
「でも親権をとったのは母親だから、母親の戸籍のはずよね?」と思いますよね。
夫婦が離婚した場合、子どもの戸籍がどうなるのでしょう?
夫婦が離婚をした場合、手続きをしなければ子どもの戸籍は離婚前の戸籍に残り、親権者の戸籍に移動することはありません。
引用:離婚弁護士 https://www.riconhiroba.com/children/divorce-custody-adult.html
この「手続きをしなければ」というのが、ポイントですね。
一般的に夫婦は
- 結婚したら「夫の姓」にする
- 離婚して母親が親権をとったら、母子は「妻の姓」に変更する
というケースが多いでしょう。
つまり、母親が「子の氏の変更許可申立書」という書類を、家庭裁判所に出すんですね。
そうすると、離婚後に子どもの苗字を変えることができます。
逆に言えば、蓮の母親は離婚後に「蓮の苗字を変える」という手続きをしていないことになります。
蓮は、母親の戸籍に入籍していないんですね。
- 離婚後も、母親と蓮は「夫の姓」のままだった
- 離婚後、母親は旧姓に戻ったが、蓮は「夫の姓」のままだった
のどちらかのはずです。
いずれにしても、蓮は父親の苗字のままのはずです。
離婚しても、妻は苗字は旧姓にするか、結婚後の姓のままにするか選べるんですよね。
映画では、登場人物の苗字は一切出てこず、下の名前だけです。
なので、蓮の氏名のいきさつがよく分かりません。
けれど、「離婚して連絡がつかなくなった父親の住所が、戸籍で分かった」というトリック(?)は、一応成り立ちます。
むしろ、戸籍の件で名前が面倒なことにならないように、登場人物は下の名前だけなのかもしれません。
本家の都合で離婚したのに、蓮はなぜ父親の姓のまま?
戸籍のことから分かるのは、少なくとも蓮は父親の姓のままということ。
そうすると、「本家の親戚」たちが、蓮を父親の苗字のままにしておいたというのは、不自然ですよね。
夫婦を離婚させる人たちが、「家系唯一の男子で、大事な跡取り」を、「赤の他人」の苗字のままにするでしょうか?
弁護士まで入れていたのだし、流れからして、母親の姓に変えさせるのが自然です。
考えられるのは、
- 母親としては、離婚は本意ではないので、苗字を変えなかった
- 制作側の都合
のいずれかのように思います。
気が弱く、いつも泣いてばかりいる母親が、苗字を死守できたとは考えにくいですよね。
苗字を変えないという意思を貫けるくらいなら、離婚も拒否できそうです。
細田監督は、『おおかみこどもの雨と雪』でも、おおかみおとこの死因について、「制作側の都合」で不自然な展開をさせています。
なので、おそらく「こんなに細かく戸籍のことを、調べる人はいないだろう」と、整合性をつけなかったかもしれません。
「親戚の都合で、両親は離婚することになった」
「離婚して長年会っていない父親と会わせるために、戸籍のしくみを使った」
という2点が、「視聴者にざっくりと伝わっていたらいい」という感じではないかと思います。
『おおかみこどもの雨と雪』での「制作側の都合」による不自然な死因については、別の記事をご参照ください。
U-NEXTでは、細田守監督の以下の作品が視聴できます。
- 『時をかける少女』
- 『サマーウォーズ』
- 『おおかみこどもの雨と雪』
- 『バケモノの子』
- 『未来のミライ』
- 『デジモンアドベンチャー』
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※本ページの情報は2021年7月時点のものです。最新の配信状況はU-NEXTサイトにてご確認ください。
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【バケモノの子】両親の離婚理由まとめ
映画『バケモノの子』では、蓮の両親が離婚していますが、理由については明かされていません。
- 小説では、「本家の親戚が、両親を無理やり離婚させた」経緯が書かれている
- 離婚させた理由は、蓮が『家系唯一の男子で、大事な跡取り』だから
- 蓮の戸籍から父親の現住所が分かったのは、「父親が本籍地を変えなかったから」と「離婚したのに蓮は父親の苗字のままだったから」
- 両親が離婚して母親が親権をとったのに、蓮が父親の苗字のままだったのは、「制作側の都合」の可能性が高い
というのが、この記事のまとめです。