映画『タイタニック』のラストで、100歳のローズがネックレス「碧洋のハート」を海に捨てます。
ブルーダイヤモンドという、かなり高価な宝石です。
「ローズは、なぜネックレスを捨てたの?」と思った人も多いでしょう。
また、余り知られていませんが、実はこのシーンは2パターンありました。
採用されなかった「ローズがみんなの前で、ネックレスを捨てる」というパターンも用意されていたのです。
この記事では、
- もう一つの「ネックレスを捨てるシーン」の動画
- ローズは、なぜネックレスを海に捨てた?
について、解説します。
2023年のタイタニックツアーの潜水艇については、こちらの記事にまとめています。
【最新】タイタニック潜水艇の場所はどこ?乗客や内部はどうなってる?
【タイタニック】ネックレスを捨てるラストシーンは実は2つあった!
ローズが眠りにつく前に、ダイヤモンドのネックレス「碧洋のハート」を海に投げ入れるシーンがありました。
実はネックレスの捨て方には2通りあったのです。
両方撮影した上で、「こっそり捨てる」方が選ばれました。
しかしいずれにしても、ネックレスは捨てるんですね。
ローズはなぜネックレスを海に捨てたのでしょうか?
ネックレスのシーンは実は2パターンあった!
実は、100歳のローズがダイヤのネックレス「碧洋のハート」をどうするかは、2パターンありました。
- パターン1:誰にも明かさず、こっそり海に捨てる
- パターン2:みんなの前で海に捨てる
映画で採用されたのは、「パターン1」ですね。
パターン2の内容は、簡単に言うと以下のようなものでした。
- ローズがみんなにダイヤを見せて、海に捨てようとする
- ブロックが引き止め、ダイヤを触らせてもらう
- ローズがダイヤを海に投げる
- ブロックが笑いだす
という展開なのです。
【動画】もう一つの「ネックレスを捨てる」シーンを解説!
セリフが英語ですが、以下のツイートで「もう一つのラストシーン」の動画が見られます。
訳は後述しますね。
ローズがネックレスを海に捨てようとして、ブロックが「待って!一度触らせてくれ」と引き止めます。
うっとりとダイヤを眺めるブロックに、ローズは
「ブロックさん、あなたは間違った場所で宝石を探してるわ。
人生だけが値段がつかないもので、一日一日が大切なもの」
と語っています。
英語では
You look for treasure in the wrong place.
Only life is priceless,and making each day count.
と言ってますね。
そして、ネックレスを海に投げるのです。
この「each day count」とは、日本語に訳すと、ディナーの席でジャックが皆に「一日一日を大切に」と言っていた言葉なのです。
100歳のローズのセリフで、ローズがジャックの言葉を大切にして生きてきたことが分かります。
そしてローズがネックレスを捨てると、
- ブロックが、ゲラゲラ笑いだす
- 眼鏡の男が「おもしれえや!すごいぜ!」とヤケクソになる
- ブロックがローズの孫に「踊りませんか?」と誘う
という展開になるのです。
まとめると、映画『タイタニック』のネックレスを捨てるシーンには、
- 誰にも明かさず、こっそり捨てるパターン
- みんなの前で捨てるパターン
の2パターンがあったのですね。
そして、「こっそり捨てるパターン」が採用されたのでした。
ローズはなぜネックレスを海に捨てた?監督は「何が大切なものか」考えてほしかったから!
映画『タイタニック』のラストは、2パターン用意されていました。
いずれにしても、ネックレスは捨てることになっていたわけです。
ルイ16世のブルーダイヤモンド「碧洋のハート」という貴重なネックレスを、なぜローズは捨てたのでしょうか?
個人的には、
観る人に、「この世で最も大切なもの」を考えてもらう仕掛けとして演出した
のだと思います。
具体的に言うと、
- キャメロン監督は、「最も価値のある大切なのものは、命や人生であり、一日一日」と考えている
- ネックレスを捨てるローズを見て、「なぜ捨てたの?」と立ち止まって考えてほしかったから
仕掛けとしての演出だったのではないでしょうか。
理由を探るヒントは3つあると思います。
- 採用されなかったラストシーンのセリフ
- キャルドンからネックレスをもらった時のローズの反応
- 少し微笑んでネックレスを捨てた
(採用されたパターンの方)
ひとつずつ見ていきましょう。
【ヒント1】不採用パターンのローズのセリフ
ネックレスを捨てるシーンで、採用されなかったパターンでは、ローズが次のように言っています。
「ブロックさん、あなたは間違った場所で宝石を探してるわ。
人生だけが値段がつかないもので、一日一日が大切なもの」
ブロックは、ダイヤのネックレスを「宝石=貴重なもの、大切なもの」と考えて、探していました。
しかしローズの価値観だと、最も貴重で大切なのは、「人生」であり「一日一日」なのです。
この価値観は
- ジャックがローズに教えた
- タイタニック号の沈没で九死に一生を得た体験
からローズが学んだことと言えるでしょう。
【ヒント2】ローズはネックレスに価値を感じていなかった
安いハートのネックレスは嫌だけど、良いダイヤでカラット大きければ許す
— ゆうな (@yuna2429) December 23, 2020
デザインより質ですよ。
タイタニックでもローズは微妙な反応w pic.twitter.com/mtiwwJQ2Pn
そもそも、ローズは若い頃から、ダイヤのネックレスに価値を見いだしていませんでした。
元々稀少なブルーダイヤモンドな上に、56カラットという大きなダイヤ。
何十億円としそうな代物ですよね。
ルイ16世が所有していたという歴史的な価値もあるわけです。
普通なら、ものすごく大喜びしても良さそうですよね。
しかし、キャルドンからネックレスを贈られた時も、たいして喜んでいませんでした。
またジャックが絵を描く時、ローズは「重いから、一度しかつけてない」と言っています。
あまりネックレスに関心がなく、価値も見いだしていなかったようです。
ローズの価値観は、もともと世間一般的なものではありませんでした。
ローズは、まだ売れていない貧しい時代のピカソやモネ、ドガなど、新進の画家たちの絵をたくさん買い込んでいましたね。
キャルドンは「変な名前」くらいにしか感想を持ちませんでしたが、ローズは美を見いだしていました。
そして「見抜く目はあなたよりあるわ」とキャルドンに言っています。
キャルドンは「高価なダイヤ=価値がある」という価値観でしたが、ローズはそうではありませんでした。
値段ではない、本質的なところで価値や美を見いだす人だったのです。
なので、ローズにとっては、56カラットのブルーダイヤモンドは、たいして価値のないものだったのでしょう。
【ヒント3】微笑してネックレスを捨てた
採用されたラストで、ローズは少し微笑んで、ネックレスを海に捨てます。
トレジャーハンターのブロックたちが、何年もかけ苦心して探し回った、高価なダイヤのネックレス。
もちろん見つかれば、世界中で大ニュースになりますよね。
しかしローズには、「高価だから価値がある」という考えはありません。
ローズがネックレスを捨てるのを見て、「もったいない」と思った人は多いでしょう。
しかしキャメロン監督としては、「人生で本当に価値のある、大切なものは何だろう?」と問いかけたかったのではないでしょうか。
映画『タイタニック』の中では、キャルドンがマードック航海士に金をつかませて、救助ボートを優遇してもらおうとしました。
しかしマードックは、「何の役にも立たん」と金を投げ捨てます。
タイタニック号という実話を映画にする段階で、キャメロン監督は、多くの資料を読んだはず。
「金で買えない、何よりも大切なものは命であり、人生であり、一日一日だ」と思ったのではないでしょうか。
監督は、ローズに微笑んでネックレスを捨てさせました。
なぜなら、「どうして捨てたの?なぜ笑ったの?」と、観る人に立ち止まって考えてほしかったからだと思います。
そういう仕掛け(演出)として、ローズにネックレスを捨てさせたと言えるでしょう。
【タイタニック】こっそりネックレスを捨てるシーンが採用された理由は?
映画『タイタニック』には、ラストシーンに
- 「ネックレスをこっそり捨てる」パターン
- 「みんなの前で捨てる」パターン
があると、話しました。
どうして、「ネックレスをこっそり捨てる」パターンが採用されたのでしょう。
理由は、「こっそり捨てる」方が、違和感がなかったからではないでしょうか。
「みんなの前で捨てる」というパターンだと、
- ブロックがゲラゲラ笑い出す
- 「踊りませんか」と孫を誘う
という展開なので、観る側は「どうしてブロックは笑い出したの?」「何でダンス?」という方に、気がそれてしまいます。
また、最後の「ローズがジャックと会う夢」のシーンとの「流れ」がスムーズになりません。
ローズは、84年間もジャックのことを秘密にしていたのです。
ローズが最後に見た夢も、ローズだけの特別なものですよね。
みんなの前で演説をぶってネックレスを捨てると、そういう秘めた感じが損なわれてしまいます。
なので、前後のシーンとのつながりを考えると、「こっそり捨てる」パターンの方が、違和感がないので、採用されたのでしょう。
【タイタニック】解説・考察記事一覧
【タイタニック】ネックレスを捨てる場面まとめ
映画『タイタニック』では、ローズが「碧洋のハート」というネックレスを、海に捨てます。
謎めいた、印象的なシーンでしたね。
- ローズがネックレスを捨てるシーンは、実は2パターンあった
- 採用されたラストシーンは「誰にも明かさず、こっそり海に捨てる」パターン
- 採用されなかったラストシーンは「ローズが、みんなの前で捨てる」パターン
- 前後のシーンから、「こっそり捨てる」パターンの方が、違和感がない
- ローズがネックレスを捨てたのは、監督が見る人に「人生で最も価値があり、大切なものは何か」考えてもらうための演出だった
というのが、この記事のまとめです。
2023年6月22日現在、U-NEXTでは、以下の関連動画が配信されています。
・『タイタニック 水との闘い』
(BBC制作の再現ドラマ)
・『シン・タイタニック』2022年アメリカ制作
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※本ページの情報は23年6月時点のものです。最新の配信状況はU-NEXTサイトにてご確認ください。