世界的バンドQUEENとフレディ・マーキュリーの半生を描いた映画『ボヘミアン・ラプソディ』。
劇中では、20曲以上QUEENの曲が使われています。
フレディを演じるラミ・マレックが、本当に歌ってるかどうか、気になる人も多いのではないでしょうか。
この記事では、
- ラミ・マレックは、口パク(リップシンクロ)
- 歌は、フレディ本人と、声がそっくりなマーク・マーテルの声の合成
について、解説します。
【ボヘミアンラプソディ】本当に歌ってるのは誰?ラミ・マレックの歌声は口パク!
映画『ボヘミアン・ラプソディ』では、QUEENの軌跡が描かれています。
フレディ・マーキュリー役のラミ・マレックが、熱唱する姿が印象的ですよね。
ラミ・マレックは口パク
あまりに歌声とラミ・マレックの口の動きがぴったりなので、「ラミ・マレックが本当に歌ってるの?」と思った人も多いでしょう。
実は、ほとんど口パクです。
発声しているのかもしれませんが、ラミの声は基本的に使われていません。
完璧なリップシンクロで、全然違和感ないですよね!
フレディ役の話がくるまで、ラミはQUEENのファンだったわけでもなく、あまりよく知らなかったそう。
オーディションの段階で、ラミはプロデューサーたちには以下のことを伝えたそうです。
- ピアノを弾けない
- 歌手でもない
- フレディについてできることはあるが、難しいだろう
これだけ聞くと、やる気のなさそうなニュアンスですね。
けれど「責任重大だけど、どうしても演じたい役だった」
「フレディを継ぐ気持ちでオーディションに挑んだ」と、インタビューで語っています。
確かに、演技を観れば、ラミ・マレックの情熱と渾身はしっかり伝わってきますよね。
歌ってるのはフレディ本人とマーク・マーテル
さて、ラミ・マレックがほとんど口パクだとすると、歌っているのは誰なのでしょう?
- フレディ・マーキュリー(音源)
- マーク・マーテル(フレディに声がそっくり)
メトロUS紙のインタビューで、ラミは「声をいくつか混ぜてる」と答えています。
「でも主に、フレディの声をできるだけ多く聞くことのが、わたしやみんなの希望です。
それが全員の目標だと思う」とも語っています。
ラミの声も少し入ってるそうですが、ほとんどはフレディと、そっくりさんのマークの2人だそう。
アメリカのニュース記事を読むと、たいていマークは「不気味なほどフレディに似てる」という紹介のされかたをしています。
確かに、驚くほどフレディに似てますよね。
マーク・マーテルは、1976年生まれのカナダ人。
2021年現在は、44歳ですね。
「フレディの声に似てる」というのは、かなり昔から周りの人に指摘されていたそう。
大学時代にルームメイトとバンドを結成しています。
デビューしていくつも受賞し、10枚のアルバムを出しましたが、2013年に活動休止しています。
以後はソロで活動しており、QUEENのロジャー・テイラーの「公式クイーン・トリビュート・プロジェクト」のコンテストに参加。
マークは絶賛されて、コンテストで優勝し、QUEENと一緒にツアーで回っています。
『ボヘミアン・ラプソディ』の映画化の話が出ると、QUEENのマネージャーがマークに「歌ってもらうかもしれない」と打診。
マークは、シネマブレンド紙のインタビューで、「正直なところ、ギャラはとても良かった」と答えています。
けれど、「QUEENの映画ということだけでも、ゴールドの価値があった」とも。
マークもQUEENの大ファンなので、すごく光栄なことだったでしょうね。
マークとラミは、アビーロードのスタジオで、2ヶ月半レコーディングをしたとのこと。
必要な部分だけ、短編的に採録したそうです。
プロデューサーのグレアム・キングは「マークがいなかったら、この映画は実現できなかったと思う」と、インタビューで答えています。
ちなみに、『ボヘミアン・ラプソディ』のサウンド・トラックは、すべてQUEENの録音です。
マークが歌ってるのは、どの曲?
さて、「複数の声が混じってる」というのは、どういう状態なのでしょう?
「映画のどの曲が本物のフレディ?」「マークは、どの曲を歌ってるの?」と思いますよね。
マーク・マーテルも、インタビューで訊かれているのですが、「どの曲を歌った」と明言していません。
ライブシーンは、基本的にフレディ本人の声を使っているのだろうと、思いますよね。
けれど、そう単純なわけでもなかったのです。
20世紀FOXが公開している下の動画では、本当に「複数の声を混ぜてる」という作業が見られます。
サウンドスーパーバイザーのジョン・ウォーハースさんによると、
- 個別の声を、何千何万と集める
- 実際のフレディのトラックに、音を加える
- 声をひとつに合わせてる
のだそうです。
要するに、つなぎ合わせたり、重ね合わせたりしているのですね。
かなり繊細・複雑で、気の遠くなるような作業です。
「これが正解」というのは、なかなか見つけられないというか、やればやるほど分からなくなりそう。
視聴者が違和感なく「フレディの声」と思っていたのは、合成だったのです。
ただ、次のシーンは、フレディの声は入っていないのではと思うんですね。
- 誕生パーティの「ハッピーバースデーソング」
- レコーディング用の農家で、ピアノで弾いて歌う「Love of My Life」
というのも、フレディ本人が歌えない、映画の中だけのシーンだったからです。
「Love of My Life」は、ライブなどではギターも入るので、フレディ本人の音源に「声を重ねる」という作業はできたのかな?と疑問が残ります。
気になるのは、フレディがバンド「SMILE」に加わった初ステージで歌った「Keep Yourself Alive」。
歌詞がめちゃくちゃで、ブライアン・メイが「ちゃんと歌え」と言ってました。
なので、歌詞が違う部分は、マーク・マーテルの声なのだろうと思います。
歌詞が間違っていない部分は、フレディとのミックスになっているかもしれません。
ラミ・マレックも歌の特訓をした
「ラミ・マレックは、ほとんど口パク」と前述しました。
関係者のインタビューなど読むと、「完全にゼロ」というわけではないようです。
ローリングストーンズ誌によると、ラミ・マレックは
- 入手できるすべてのビデオクリップを観た
- ムーブメントコーチを付けて、フレディの動きを徹底研究
- 歌とピアノの特訓
などしています。
歌に関しては、「あなたの歌は良くないから、歌わないで」など言われていたそうで、子どもの頃から苦手意識が強かったよう。
NYタイムズの取材で、ラミは「誰もわたしの歌を聞きたがらない」と答えています。
歌自体は、フレディとマーク・マーテルの声を使うことは、最初の段階から決まっていたそうです。
けれど、ラミは自信をもってフレディを演じ切るために、ボーカルコーチを付けて、1年半かけて歌を特訓。
Isingmag誌には、ラミとコーチがどのように訓練したか、詳しく書かれています。
- 最大の問題は、胸から声が出ること
- 一番高い声でも、クイーンの声域より1オクターブ低い
劇中でも「過剰歯だから音域が広い」と言っていましたが、フレディの声域は4オクターブ。
歌が苦手な俳優さんに、フレディと同じものを求めるのは酷ですよね。
ボーカルコーチのデイビット・コームは、まず「歌うことは忘れましょう」と、お互い泣き言を言うことから始めたそう。
デイビッドの指導も変わっていて、「子犬の注意を弾こうとしているような音を出してほしい」と言っていたのだとか。
2人で試行錯誤しながらトレーニングした結果、ラミ・マレックは『Crazy Little Thing Called Love』をマスター。
それが転機となって、ラミも楽しんで歌えるようになったそうです。
こんなに特訓して、ラミの声がほとんど使われていないのは気の毒ですが、映画では本当に歌っているように見えますよね。
フレディは、全身全霊で歌っていますし、ステージでのパフォーマンスも派手です。
ただの口パクでは、フレディの情熱を伝えることは難しいでしょう。
喉や顔の筋肉を、しっかり動かすにはラミ・マレック自身も、しっかりと歌えるようになる必要があったようです。
アカデミー賞をはじめ、多くの映画祭で主演男優賞を獲ったのだから、ラミも満足なのではないでしょうか。
ちなみに、本物のライブエイドでは、クイーンは6曲演奏しましたが、劇場版『ボヘミアン・ラプソディ』では2曲カットされました。
劇場未公開の2曲も入った完全版が、Huluで配信されています。
6/4の金曜ロードショー放送直後から、2週間限定の配信。
完全版の配信は、Huluが世界初だそう。無料で見られるこの機会をお見逃しなく!
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※本ページの情報は21年6月時点のものです。最新の配信状況はHuluサイトにてご確認ください。
【ボヘミアンラプソディ】解説・考察記事一覧
【ボヘミアンラプソディ】本当に歌ってるのは誰かまとめ
映画『ボヘミアン・ラプソディ』では、ラミ・マレックがフレディ・マーキュリーを熱演しています。
劇中では20曲以上QUEENの曲が使われていて、ラミ・マレックが歌うシーンが多いですよね。
- 歌は、フレディ・マーキュリー本人と、声がそっくりなマーク・マーテルの合成
- ラミ・マレックは、基本的にリップシンクロ(口パク)
- しかし、フレディを演じ切るために、ボーカルトレーニングした
- マーク・マーテルは、「公式クイーン・トリビュート・プロジェクト」の優勝者
- フレディの歌声が入ってないのは、「ハッピーバースデーソング」と「Love of My Life」と思われる
- 歌声は、フレディとマーク・マーテルの合成