2023年6月18日、タイタニック号の探索ツアーの潜水艇が行方不明になりました。
タイタニックって、どこに沈んでるの?
潜水艇の破片は、どこで見つかった?
と気になる人が多いでしょう。
この記事では、
・タイタニックの沈没位置と潜水艇の場所
・潜水艇の内部はどうなってた?
・ツアー乗客5人は誰?
・ツアーの値段はいくら?
・潜水艇の酸素はどれくらいもつ?
・潜水艇の事故の原因は?
について、まとめました。
2023年は、6/24と7/1に2週連続で、土曜プレミアムで映画『タイタニック』が放送されます。
すごいタイミングですね…。
【地図】タイタニック潜水艇の場所はどこ?
まず、タニタニックが沈没した場所を確認しましょう。
大西洋の真ん中あたりの赤いピンがついてる位置です。
(赤い線は、タイタニック号が沈没した時の航路)
スマホは、指で広げると地図が拡大します。
タイタニックの探索ツアーの潜水艇は、カナダのニューファンドランド島のセント・ジョンズの港から出航しています。
オレンジの矢印が、潜水艇タイタンの航路です。
セント・ジョンズの700km南に、タイタニック号は沈没しています。
潜水艇タイタンは、海中に入って1時間45分後に連絡が途絶えました。
そして、日本時間の6/23深夜1時過ぎに、「潜水艇が破壊されて乗員は死亡したとみられる」との報道発表がありました。
・タイタニック船首から離れたところで、潜水艇の破片を発見した
・「壊滅的な爆縮」が起きた
・乗員5人は死亡した
なお、米CNNでは「船首から約120m離れたところ」と報道しています。
しかし、日本のTBSでは「船首から500m」と報道していました。
どちらが正しいのか不明ですが、船首の周辺から数百m離れたところのようです。
また、日本のニュースでは当初、「壊滅的な爆発」と報道しています。
しかし、英語では「implosion(爆縮)」という単語を使っています。
爆発だと英語は「explosion」ですね。
爆縮ってどういうこと?
事故の原因については、この記事の「潜水艇の事故の原因は?」に詳しくまとめました。
何にせよ、潜水艇は形を保っておらず、バラバラになっていると考えられます。
水深3800mだと、水圧は地上の400倍です。
潜水艇の破片は、海底のあちこちに散らばっていそうです。
タイタニックの船首周辺を含め、今後も捜索は続くと思われます。
なお、6/22までは以下のような捜索と報道がされていました。
捜索機関
- カナダの軍事監視機
- アメリカの沿岸警備隊
捜索方法
BBCの報道では、1万平方マイル(25㎢)の範囲を捜索していたようです。
カナダの監視機は、タイタニック号の沈没付近で、3800メールの深さまで捜索していました。
ただ、3800メールの水深まで潜って探しているわけではありません。
水中ロボットを使って、水中騒音を検出するという方法で捜索していたそうです。
また、フランスの探査機も使って海底を捜索していました。
アメリカの沿岸警備隊も、捜索エリアの海中で、30分毎に定期的な複数の音を感知したとのこと。
カナダの監視機も、バンバン叩くような音を確認しています。
ただ、発信源が潜水艇タイタンかどうかは、不明。
水は音を伝えやすいですよね。
おそらく、乗客は探してもらうために、中から壁を叩くなどして、音を出して知らせていたのだろうと思います。
【動画】潜水艇の内部構造はどうなってる?
タイタニックツアーの潜水艇の内部は、どうなっているのでしょう?
ツアー運営会社のCEOで、自身も潜水艇の乗客であるストックトンさんが、潜水艇の中を紹介する動画があります。
・中はかなり狭い
・天井は立てないほど低い
・イスはない
・正面に大きなモニター
・側面にPCサイズのモニターが2つ設置
・ゲーム機用のジョイスティックで操縦
・潜水艇は外側からボルトで固定
(中から開けることはできない)
・出入口ハッチには丸いのぞき窓
・小さなトイレが1つ設置
・水深3800mでは、衛星電話もGPSも使用不可
潜水艇を上から見たイラストがあるのですが、かなり窮屈そうですね。
横たわれそうにないので、ずっと座った姿勢でいなければならないようです。
海中3800メートルまで潜ると、水圧は地上の400倍になります。
そのため、乗客が乗り込んだ後、外から出入り口ハッチをボルトでしっかり固定する仕様になってます。
中からは開けられません。
ドアがついてても、深海ではもちろん水圧で開けられませんよね。
ただ、潜水艇が自力で海上に浮上しても、中から開けて酸素を入れるということもできない作りになっています。
タイタニック潜水艇の乗客5人はどんな人?
タニタニックツアーの潜水艇に乗ったのは、操縦士1人と乗客4人。
すべて男性です。
イギリスBBCの報道を元に、ご紹介します。
【乗客1】ヘイミッシュ・ハーディングさん
・ヘイミッシュ・ハーディング
・イギリス人冒険家
・58歳
・香港育ちで、英ケンブリッジ大学卒業
・現在は、ドバイが拠点
・プライベートジェット販売代理店を経営
・南極に何度も訪問
・2022年に、宇宙飛行も実行
・マリアナ海溝最深部の潜水時間の最長記録保持者
・ギネス世界記録を3件保持
マリアナ海溝の最深部まで行ったことがある人なので、タイタニック号の見学ツアーにも興味をもったのでしょうね。
【乗客2・3】ダウッド親子
・父:シャザダ・ダウッド(48歳)
・息子:スレマン・ダウッド(19歳)
父親のシャザダさんは、イギリス人実業家で、パキスタン屈指の富豪一家の出身です。
パキスタンの大手肥料会社「エングロ・コーポレーション」の副社長です。
また、地球外生命体の探索を行うカリフォルニアの研究機関にも関わっています。
家族によると、父親のシャザダさんは、「さまざまな自然の生息地を探索することに興味がある」そう。
また、息子のスレマンさんは「SF文学の大ファンで、新たなことを学んでいるところ」だったそうです。
【乗客4】ポール=アンリ・ナルジョレさん
Paul-Henry Nargeolet #MrTitanic is among 5 paxs on board the #Titan sub.
— jose marco garcia f (@ppgarciaferreir) June 21, 2023
His 1st dive to Titanic was in 1987, and he was the first, in 1993, to bring to the surface 800 objects from the liner… pic.twitter.com/TYFAaeewFS
・ポール=アンリ・ナルジョレ
・元フランス海軍の潜水士
・77歳
・ニックネームは、「ミスター・タイタニック」
・タイタニックの水中調査ディレクター
ポールさんは、タイタニックが発見された2年後には、沈没現場に訪れた最初の探検隊メンバーです。
どの探検家よりも、タイタニック沈没現場を訪れており、専門家と言える人。
タイタニック残骸の権利保有会社で、水中調査ディレクターを務めています。
来年は、タイタニックから物を回収する調査にも加わる予定だったそうです。
【操縦士】ストックトン・ラッシュさん
・ストックトン・ラッシュ
・61歳
・米プリンストン大学を卒業
・タイタニックツアー運営会社「オーシャンゲート」のCEO
ストックトンさんは、2009年にオーシャンゲートを設立しました。
そして、2021年からタイタニックの沈没現場へのツアー旅行を始めています。
オーシャンゲートの潜水には、毎回ご自身も参加していたそうです。
タイタニックツアーの値段(金額)はいくら?
沈没したタイタニック号のツアー費の値段は、7泊8日で、1人25万ドルです。
日本円だと、約3500万円
宇宙旅行と比較すると、だいぶ安いですね。
前澤友作さんの月旅行は、一人100億円と言われています。
25万ドルだと、高度110キロまで上昇し、無重力を4分間体験するツアーがありました。
ただ、これは2021年の価格だったので、2023年だと値上がりしていそうです。
潜水艇の酸素はどれくらいもつ?
潜水艇タイタンは、非常時のための緊急用酸素が用意されています。
4日分(96時間)×5人分
米時間6月18日の朝、潜水艇が海中に入って1時間45分後には連絡不通となっています。
連絡不通時間を起点とすると、6月22日の午前中が酸素のタイムリミットと考えられます。
日本時間だと、6月22日の18時頃がリミットです。
6月21日の時点では、アメリカの沿岸警備隊が「30分ごとに音を確認」していました。
この時点は、生存している可能性が高いという見方でした。
もともと、7泊8日のツアーなので、一瞬「1週間は大丈夫なんじゃないの?」と思いました。
しかし、潜水艇は狭く、横たわる場所がありません。
1日8時間の潜水を、1週間繰り返すツアー内容なのかもしれません。
あの狭い空間に、体の大きな男性が5人も7泊するのは、かなりのストレスですよね。
1週間分の食糧を積むスペースもなさそうです。
前述したように、タイタニック号は船首と船尾が別のところに沈んでいます。
残骸も、かなり広範囲にちらばっています。
「今日は船首に行き、明日は船尾に行きます」というようなツアーなのかもしれません。
潜水艇の事故の原因は?
潜水艇の事故の原因は、明確にはまだ分かっていません。
潜水艇タイタンは、海中に入って1時間45分で通信不能となりました。
ただ、海底に破片が散らばっていることから、「壊滅的な爆縮が起きた」と考えられています。
アメリカ沿岸警備隊は、次のように発表しています。
破片は外部からの圧力によって、壊滅的に破壊した潜水艇のものです
また、以下についても言及しています。
・6/18に潜水艇と連絡が取れなくなった後に、周辺海域で爆発音を検知していた
・タイタニック号に衝突したわけではない
- タイタニックの船首から離れたところに、潜水艇の破片がちらばっていた
- 潜水艇の破片の周りには、タイタニック号の破片もみつかっていない
という2点から、タイタニック号にはぶつかってないという見方のようです。
水深3800mだと、水圧は地上の400倍です。
「外部からの圧力」とは、つまり水圧だと考えられそうです。
なぜ、潜水艇タイタンは水圧でバラバラになったのでしょうか?
潜水艇タイタンは、安全性について次のような指摘がされていました。
(1)のぞき窓は、水深1300mまでしか耐えられる強度しかない
(2)安全システムは、事故発生の数秒前にしか故障を検知しない
(3)外部の安全性テストを受けていない
(4)保守点検がされていない
(5)潜水艇は、水圧に弱い形状をしている
安全性について提言した従業員は、2018年に解雇されたそうです。
潜水艇は、完全に丸い形状が最も水圧に強いそうです。
しかし、5人乗れるようにするため、円柱のような形状にしたのではないかと指摘されています。
また、のぞき窓が水深1300mまでしか耐えられない状態でした。
水圧で窓が割れたことにより、内部にも急速に強大な圧力がかかり、バラバラに破壊された可能性もあります。
一瞬でバラバラになっただろうと、ニュースで解説してました。
6/23の朝の報道では、次のことが指摘されています。
- 潜水艇を製造した時に、外部機関の安全性のテストを受けていない
- 潜水艇タイタンを何度も使用しているが、保守点検をしていなかった
自動車だと、新車を企画・製造した場合に、「どのくらいの衝撃に耐えられるか」などのテストを受けなければなりません。
テストで安全性が確認されてから、「販売して良い」という国の許可が下りるんですね。
また、例えば客船だと、毎年1回は保守点検をすることが義務付けられているそうです。
深海に何度も潜ると、機体には大きな負荷がかかるので、金属疲労など安全面で問題が出るとのこと。
しかし、車検みたいな定期的な保守点検も行われていなかったと報道していました。
潜水艇の運営会社のCEOが、操縦士だよね。
自分も乗るのに、安全性を重視しなかったのかな?
と、個人的には不思議に思いました。
朝の情報番組では、専門家が「今までの経験則を基準にしていたのかも」と言ってました。
「今まで問題起きてないから、今回も大丈夫」という感じだったのか、その辺りを詳しく知りたいと思いました。
今回のツアーでは、参加時の契約書に「死亡しても会社は責任を負わない」という項目があったそう。
ただ、安全面の問題が指摘されているので、契約書が有効かどうかも争われる可能性がありそうです。
大型客船タイタニック号は、氷山にぶつかって沈没しました。
船底が二重構造で厚く設計されていれば、衝突に耐えられただろうと言われています。
映画『タイタニック』でも、設計者が安全性で後悔するシーンがありますね。
また、救命ボートを乗客人数分だけ準備していなかったことも、大惨事に繋がりました。
潜水艇の乗員全員が亡くなって、本当に痛ましいですね。
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まとめ
・タイタニックは、セント・ジョンズの南700キロに沈んでいる
・潜水艇の場所は特定されていない
・潜水艇には操縦士1人と乗客4人が乗っている
・ツアーの値段は、日本円で3500万円
・潜水艇の内部は狭く、立ったり横たわったりできない
・潜水艇の非常用酸素は、96時間分
・酸素のタイムリミットは、日本時間で6/22の18時頃
・潜水艇の事故の原因は、現時点では不明