細田守映画『竜とそばかすの姫』タイトル画像

映画『竜とそばかすの姫』は、『サマーウォーズ』の世界観とよく似てます。

12年経って、だいぶ進化した感じもありましたね。

この記事では、

  • 『サマーウォーズ』との繋がりや似てる点は?
  • 『サマーウォーズ』と大きく違う点は?

について、解説します。

【竜とそばかすの姫】サマーウォーズとの繋がりは?似てるところはどこ?

映画『竜とそばかすの姫』の公開にあたって、細田守監督は次のように語っています。

「今回の作品(『竜とそばかすの姫』)は、いろんな過去作品の連続性上にある」

引用:https://eiga.com/news/20210715/2/

特に『サマーウォーズ』と共通点が多く見られます。

『サマーウォーズ』との繋がりや似てるところを、解説します。

【比較一覧】サマーウォーズとの繋がり・類似点は?

『竜とそばかすの姫』と『サマーウォーズ』は、以下が似てると思います。

共通点
  1. 主人公が高校生
  2. 物語の舞台が地方
  3. 仮想世界も舞台となっている
  4. アカウント数50億で、くじらも登場
  5. 映画のテーマも似てる

分かりやすく比較一覧表をつくってみました。

竜とそばかすの姫サマーウォーズ
主人公内藤すず(女子高生)小磯健二(高校2年生)
舞台が地方高知県長野県上田市
仮想世界UOZ
アカウント数50億50億
くじらベルのライブステージOZの守り主
テーマ家族
主人公の成長
行き過ぎた正義
美女と野獣
家族
主人公の成長

それぞれ詳しく見てみましょう。

『竜とそばかすの姫』に登場する『サマーウォーズ』のアバターについては、別の記事にまとめたので、ご参照ください。

竜とそばかすの姫に出てくる『サマーウォーズ』のアバターは?どちらも冒頭に登場!

物語の舞台が地方!

どちらの映画も「地方が舞台」というのが、似てます。

『サマーウォーズ』では、陣内家の本家が、長野県上田市にありました。

600年以上続く、武家の家系でしたね。

長野県上田市は、細田監督の奥様の故郷なのだそう。

https://twitter.com/Kensuke8341141/status/1416010659481804806

一方、『竜とそばかすの姫』のリアル世界の舞台は、高知県です。

モデルとなっている場所は、高知県内の複数にわたっています。

〇〇市という一つの自治体というわけではないんですね。

例えば、こちらは高岡郡越知町の「浅尾沈下橋」

高知県の中央部にある町です。

https://twitter.com/studio_chizu/status/1397115220938604546

この場面は吾川郡仁淀川町の安居渓谷

https://twitter.com/studio_chizu/status/1398927165492580352

劇中「仁淀川(によどがわ)」の名前も、出てきましたね。

仮想世界UOZの続き?

どちらの映画も、仮想世界が出てくるところも似てますね。

『サマーウォーズ』の仮想世界OZの映像を初めて見た時は、とても斬新に感じました。

12年経って、『竜とそばかすの姫』の仮想世界Uは、さらに映像美が増した感があります。

世界観が似ているので、UはOZの続きのように思えますよね。

UとOZの違い
  • Uは5人のVoicesが創造
  • OZとは違うバーチャル空間
  • 内容は似てるが、運営は別
  • Uではボディシェアリング機能がある
  • Uには、ジャスティスという自警団がいる
  • OZは、職業とアカウントが紐づいていた

InstagramとTikTokみたいに、似てるけど違うSNSということですね。

OZUの共通点は

OZとUの共通点
  • アバター(As)で活動
  • アカウント数が50
  • アバターが話すと、漫画の吹き出しが出る
  • 闘技場がある
  • みんな空を飛ぶようにして移動

というところでしょうか。

OZがUのベースの世界となっているのは、間違いないと思います。

『サマーウォーズ』が公開された2009年の世界人口は、68億人

12年後の現在は、78億人です。

人口が10億人増えて、スマートフォンの普及率もだいぶ上がっています。

なので、Uのアカウント数は、もっと増えていても良かったような気もします。

細田監督はくじら好き?

どちらの映画にも、仮想世界にくじらが登場します。

『バケモノの子』では、闇落ちした一郎彦が「くじら」となりました。

細田監督は、くじらが好きなんでしょうね。

『サマーウォーズ』では、OZの守り主のくじらのジョンとヨーコが登場。

映画後半では、夏希にレアアイテムを授けていました。

『竜とそばかすの姫』では、背中にスピーカーを山盛り載せて、ベルのライブステージとなっていました。

Uのくじらの方が、描写がリアルでしたね。

主人公が高校生

どちらの映画も、主人公が高校生という点も、似てます。

細田監督の映画は、高校生が主人公になってる作品は多いですね。

『サマーウォーズ』では、3人の高校生が登場しました。

  • 主人公の健二(高2)
  • ヒロインの夏希先輩(3)
  • 友人の佐久間(2)

『竜とそばかすの姫』でも、やはり中心人物は高校生でしたね。

  • 主人公の内藤すず
  • 親友のヒロ(別役弘香)
  • 幼なじみのしのぶ(久武忍)
  • ルカちゃん(渡辺瑠果)
  • カミシン(千頭慎次郎)

家族や主人公の成長がテーマ

どちらの映画も、家族や主人公の成長がテーマになっています。

これも細田監督の作品では、繰り返し取り上げられているテーマですね。

『サマーウォーズ』では、核家族の一人っ子・健二が、陣内一族に数日間をともにします。

最後まで諦めずに、力を合わせてラブマシーンを倒しました

『竜とそばかすの姫』では、母を失い父をうまくいかないすずが、歌を取り戻し、父との関係を回復します。

さらには、竜である恵やトモ君も助けていました。

どちらかというと、『竜とそばかすの姫』の方が、癒されて回復して成長するという経緯が、分かりやすく描かれていたように思います。

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【竜とそばかすの姫】サマーウォーズの相違点は?

『竜とそばかすの姫』と『サマーウォーズ』は、もちろん違う点もあります。

観ていて大きく違っている点を挙げてみました。

父子家庭と大家族の違い

『サマーウォーズ』では、登場人物のほとんどが陣内一族でした。

陣内家だけで26人も登場したんですね。

核家族で一人っ子の健二が、大家族と関わりながら成長していきます。

一方『竜とそばかすの姫』は、すずの家庭も恵の家庭も、どちらも父子家庭です。

『バケモノの子』も父子家庭でしたね。

『おおかみこどもの雨と雪』は母子家庭でした。

細田監督が父子家庭を描く時、「はじめは父子がうまくいっていないが、関係が良くなってジ・エンド」というパターンがあるように思います。

仮想世界の悪役を倒すか救うか

『サマーウォーズ』では、ハッキングAIラブマシーンが分かりやすい敵でした。

一族で結束して倒し、ハッピーエンドでしたね。

『竜とそばかすの姫』では、仮想世界Uの悪役的存在の竜を、ベルが味方して救います

これは物語として、180度違う展開ですね。

『美女と野獣』のオマージュ

前述の「悪役を救う」展開になるのは、おとぎ話『美女と野獣』のオマージュになっているからですね。

絵柄や構図も、ディズニーの『美女と野獣』を強く意識していることが分かります。

ヒロインの名前も「ベル」ですしね。

ベルのキャラクターデザインしたのも、ディズニーで『アナ雪』をデザインしたジン・キムさんです。

もともと細田監督が「インターネットの世界で『美女と野獣』をやったら、面白いな」と発想したそう。

そのため、若干ストーリーに無理が出ている感もありました。

仮想空間U竜が悪役なのは、忌み嫌われる「野獣」がベースにあったからです。

しかし、トモ君にヒーローの姿を見せようとした恵が、「嫌われ者」になる必然性は、特にないはずなのです。

『サマーウォーズ』には、別の物語をオマージュしているわけではないので、大きな違いとなっています。

ネットの行き過ぎた正義もテーマに

『サマーウォーズ』では、健二と陣内一族が、AIと闘って世界の秩序を回復しました。

『竜とそばかすの姫』には、ジャスティスという自警団が存在します。

そのリーダーのジャスティンが、物語の中で大きな役を担っていたことも、大きな違いでしょう。

さらには、ジャスティンの「行き過ぎた正義」が大きなテーマになっていましたね。

『サマーウォーズ』では、

「ネットの中だからって、何やってもいいと思ったら大間違いだ」

と健二が言っていました。

『竜とそばかすの姫』では、さらにその部分をふくらませた印象ですね。

  • 「正義」が行き過ぎて暴力的になる
  • ネット世界で匿名の立場からバッシング

というのが、物語のあちこちにでてきました。

「肯定しかされない奴なんて、コアなファンだけな証拠。
小さい、小さい。Uじゃ嘘のない賛否両論が本物を鍛え上げるんだよ」

と、ヒロが言ってましたね。

またすずが「半分も否定されてるの?死ぬ死ぬー」と言った時、ヒロは

「もう半分には評価されてるってことじゃん。自信持てよ」

と返しています。

細田監督は、こんなふうに自分に言い聞かせてるのかな…と思いました。

また、他の人への励ましでもあるのでしょうね。

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【竜とそばかすの姫】解説・考察記事の一覧

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細田守監督の作品を無料で観る方法は?

アニメ映画『時をかける少女』を観て、細田守監督の他の作品を観たくなった人もいそうです。

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  1. 『時をかける少女』2006年
  2. 『サマーウォーズ』2009年
  3. 『おおかみこどもの雨と雪』2012年
  4. 『バケモノの子』2015年
  5. 『未来のミライ』2018年

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サービス名月額料金無料期間特徴
Hulu1026円2週間日テレ系

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※当記事の情報は、2022年7月1日現在です。
最新情報は、公式HPからご確認ください。

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【竜とそばかすの姫】サマーウォーズとの繋がりまとめ

この記事では、『竜とそばかすの姫』と『サマーウォーズ』の似ている点と、大きく違う点を解説しました。

  • 類似点は、「主人公が高校生」「物語の舞台が地方」「仮想世界も舞台」「テーマ」
  • きな相違点は、「父子家庭」「悪役を救う」「美女と野獣のオマージュ」「行き過ぎた正義もテーマ」

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