映画『竜とそばかすの姫』は、『サマーウォーズ』の世界観とよく似てます。
12年経って、だいぶ進化した感じもありましたね。
この記事では、
- 『サマーウォーズ』との繋がりや似てる点は?
- 『サマーウォーズ』と大きく違う点は?
について、解説します。
【竜とそばかすの姫】サマーウォーズとの繋がりは?似てるところはどこ?
映画『竜とそばかすの姫』の公開にあたって、細田守監督は次のように語っています。
「今回の作品(『竜とそばかすの姫』)は、いろんな過去作品の連続性上にある」
特に『サマーウォーズ』と共通点が多く見られます。
『サマーウォーズ』との繋がりや似てるところを、解説します。
【比較一覧】サマーウォーズとの繋がり・類似点は?
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— 『竜とそばかすの姫』細田守最新作@スタジオ地図 (@studio_chizu) July 3, 2021
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『竜とそばかすの姫』と『サマーウォーズ』は、以下が似てると思います。
- 主人公が高校生
- 物語の舞台が地方
- 仮想世界も舞台となっている
- アカウント数50億で、くじらも登場
- 映画のテーマも似てる
分かりやすく比較一覧表をつくってみました。
竜とそばかすの姫 | サマーウォーズ | |
主人公 | 内藤すず(女子高生) | 小磯健二(高校2年生) |
舞台が地方 | 高知県 | 長野県上田市 |
仮想世界 | U | OZ |
アカウント数 | 50億 | 50億 |
くじら | ベルのライブステージ | OZの守り主 |
テーマ | 家族 主人公の成長 行き過ぎた正義 美女と野獣 | 家族 主人公の成長 |
それぞれ詳しく見てみましょう。
『竜とそばかすの姫』に登場する『サマーウォーズ』のアバターについては、別の記事にまとめたので、ご参照ください。
竜とそばかすの姫に出てくる『サマーウォーズ』のアバターは?どちらも冒頭に登場!
物語の舞台が地方!
どちらの映画も「地方が舞台」というのが、似てます。
『サマーウォーズ』では、陣内家の本家が、長野県上田市にありました。
600年以上続く、武家の家系でしたね。
長野県上田市は、細田監督の奥様の故郷なのだそう。
一方、『竜とそばかすの姫』のリアル世界の舞台は、高知県です。
モデルとなっている場所は、高知県内の複数にわたっています。
〇〇市という一つの自治体というわけではないんですね。
例えば、こちらは高岡郡越知町の「浅尾沈下橋」。
高知県の中央部にある町です。
この場面は吾川郡仁淀川町の安居渓谷。
劇中「仁淀川(によどがわ)」の名前も、出てきましたね。
仮想世界UはOZの続き?
どちらの映画も、仮想世界が出てくるところも似てますね。
『サマーウォーズ』の仮想世界OZの映像を初めて見た時は、とても斬新に感じました。
12年経って、『竜とそばかすの姫』の仮想世界Uは、さらに映像美が増した感があります。
世界観が似ているので、UはOZの続きのように思えますよね。
- Uは5人のVoicesが創造
- OZとは違うバーチャル空間
- 内容は似てるが、運営は別
- Uではボディシェアリング機能がある
- Uには、ジャスティスという自警団がいる
- OZは、職業とアカウントが紐づいていた
InstagramとTikTokみたいに、似てるけど違うSNSということですね。
OZとUの共通点は
- アバター(As)で活動
- アカウント数が50億
- アバターが話すと、漫画の吹き出しが出る
- 闘技場がある
- みんな空を飛ぶようにして移動
というところでしょうか。
OZがUのベースの世界となっているのは、間違いないと思います。
『サマーウォーズ』が公開された2009年の世界人口は、68億人。
12年後の現在は、78億人です。
人口が10億人増えて、スマートフォンの普及率もだいぶ上がっています。
なので、Uのアカウント数は、もっと増えていても良かったような気もします。
細田監督はくじら好き?
どちらの映画にも、仮想世界にくじらが登場します。
『バケモノの子』では、闇落ちした一郎彦が「くじら」となりました。
細田監督は、くじらが好きなんでしょうね。
『サマーウォーズ』では、OZの守り主のくじらのジョンとヨーコが登場。
OZの世界のアバターって凄く可愛いキャラクターが沢山だよね
— hukami (@hukami70265568) July 16, 2021
海の生き物が大好きな私としてはジョンとヨーコも大好きで、ジョンとヨーコに会えるOZの世界が羨まし過ぎます
あと少しで観られるから楽しみ〜
#金ロー
#サマーウォーズ pic.twitter.com/ospbSQqqxn
映画後半では、夏希にレアアイテムを授けていました。
『竜とそばかすの姫』では、背中にスピーカーを山盛り載せて、ベルのライブステージとなっていました。
\6月24日は #ドレミの日/
— スタジオ地図 (@studio_chizu) June 24, 2021
音階にドレミと名前を付け、さらに楽譜を発明した日と言われています。
劇中では、メインテーマ「U」以外にもベルの魅力いっぱいの歌声を聞くことができます。#竜とそばかすの姫#7月16日公開#細田守#スタジオ地図 pic.twitter.com/D5upC7HOIC
Uのくじらの方が、描写がリアルでしたね。
主人公が高校生
どちらの映画も、主人公が高校生という点も、似てます。
細田監督の映画は、高校生が主人公になってる作品は多いですね。
『サマーウォーズ』では、3人の高校生が登場しました。
- 主人公の健二(高2)
- ヒロインの夏希先輩(高3)
- 友人の佐久間(高2)
『竜とそばかすの姫』でも、やはり中心人物は高校生でしたね。
- 主人公の内藤すず
- 親友のヒロ(別役弘香)
- 幼なじみのしのぶ(久武忍)
- ルカちゃん(渡辺瑠果)
- カミシン(千頭慎次郎)
家族や主人公の成長がテーマ
どちらの映画も、家族や主人公の成長がテーマになっています。
これも細田監督の作品では、繰り返し取り上げられているテーマですね。
『サマーウォーズ』では、核家族の一人っ子・健二が、陣内一族に数日間をともにします。
最後まで諦めずに、力を合わせてラブマシーンを倒しました。
『竜とそばかすの姫』では、母を失い父をうまくいかないすずが、歌を取り戻し、父との関係を回復します。
さらには、竜である恵やトモ君も助けていました。
どちらかというと、『竜とそばかすの姫』の方が、癒されて回復して成長するという経緯が、分かりやすく描かれていたように思います。
【竜とそばかすの姫】サマーウォーズの相違点は?
『竜とそばかすの姫』と『サマーウォーズ』は、もちろん違う点もあります。
観ていて大きく違っている点を挙げてみました。
父子家庭と大家族の違い
『サマーウォーズ』では、登場人物のほとんどが陣内一族でした。
陣内家だけで26人も登場したんですね。
核家族で一人っ子の健二が、大家族と関わりながら成長していきます。
一方『竜とそばかすの姫』は、すずの家庭も恵の家庭も、どちらも父子家庭です。
『バケモノの子』も父子家庭でしたね。
『おおかみこどもの雨と雪』は母子家庭でした。
細田監督が父子家庭を描く時、「はじめは父子がうまくいっていないが、関係が良くなってジ・エンド」というパターンがあるように思います。
仮想世界の悪役を倒すか救うか
『サマーウォーズ』では、ハッキングAIラブマシーンが分かりやすい敵でした。
一族で結束して倒し、ハッピーエンドでしたね。
『竜とそばかすの姫』では、仮想世界Uの悪役的存在の竜を、ベルが味方して救います。
これは物語として、180度違う展開ですね。
『美女と野獣』のオマージュ
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— スタジオ地図 (@studio_chizu) July 9, 2021
『#竜とそばかすの姫』
仮想世界<U>の新場面カット7枚解禁
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先日の完成報告会見で監督の発言にもあった
“インターネット世界の美女と野獣”を彷彿とするダンスシーンや個性的なキャラクターが表情豊かに登場します!#7月16日公開#細田守#スタジオ地図 pic.twitter.com/Q67woYBy8a
前述の「悪役を救う」展開になるのは、おとぎ話『美女と野獣』のオマージュになっているからですね。
絵柄や構図も、ディズニーの『美女と野獣』を強く意識していることが分かります。
ヒロインの名前も「ベル」ですしね。
ベルのキャラクターデザインしたのも、ディズニーで『アナ雪』をデザインしたジン・キムさんです。
もともと細田監督が「インターネットの世界で『美女と野獣』をやったら、面白いな」と発想したそう。
そのため、若干ストーリーに無理が出ている感もありました。
仮想空間Uで竜が悪役なのは、忌み嫌われる「野獣」がベースにあったからです。
しかし、トモ君にヒーローの姿を見せようとした恵が、「嫌われ者」になる必然性は、特にないはずなのです。
『サマーウォーズ』には、別の物語をオマージュしているわけではないので、大きな違いとなっています。
ネットの行き過ぎた正義もテーマに
『サマーウォーズ』では、健二と陣内一族が、AIと闘って世界の秩序を回復しました。
『竜とそばかすの姫』には、ジャスティスという自警団が存在します。
そのリーダーのジャスティンが、物語の中で大きな役を担っていたことも、大きな違いでしょう。
さらには、ジャスティンの「行き過ぎた正義」が大きなテーマになっていましたね。
『サマーウォーズ』では、
「ネットの中だからって、何やってもいいと思ったら大間違いだ」
と健二が言っていました。
『竜とそばかすの姫』では、さらにその部分をふくらませた印象ですね。
- 「正義」が行き過ぎて暴力的になる
- ネット世界で匿名の立場からバッシング
というのが、物語のあちこちにでてきました。
「肯定しかされない奴なんて、コアなファンだけな証拠。
小さい、小さい。Uじゃ嘘のない賛否両論が本物を鍛え上げるんだよ」
と、ヒロが言ってましたね。
またすずが「半分も否定されてるの?死ぬ死ぬー」と言った時、ヒロは
「もう半分には評価されてるってことじゃん。自信持てよ」
と返しています。
細田監督は、こんなふうに自分に言い聞かせてるのかな…と思いました。
また、他の人への励ましでもあるのでしょうね。
【竜とそばかすの姫】解説・考察記事の一覧
細田守監督の作品を無料で観る方法は?
アニメ映画『時をかける少女』を観て、細田守監督の他の作品を観たくなった人もいそうです。
2022年7月1日現在、細田守監督の作品を最もお得に観られるのはHuluです!
5本の作品が、見放題で配信中です。
- 『時をかける少女』2006年
- 『サマーウォーズ』2009年
- 『おおかみこどもの雨と雪』2012年
- 『バケモノの子』2015年
- 『未来のミライ』2018年
『竜とそばかすの姫』+スペシャル映像は、550円の有料で視聴できます。
サービス名 | 月額料金 | 無料期間 | 特徴 |
Hulu | 1026円 | 2週間 | 日テレ系 |
\2週間無料/
※当記事の情報は、2022年7月1日現在です。
最新情報は、公式HPからご確認ください。
【竜とそばかすの姫】サマーウォーズとの繋がりまとめ
この記事では、『竜とそばかすの姫』と『サマーウォーズ』の似ている点と、大きく違う点を解説しました。
- 類似点は、「主人公が高校生」「物語の舞台が地方」「仮想世界も舞台」「テーマ」
- きな相違点は、「父子家庭」「悪役を救う」「美女と野獣のオマージュ」「行き過ぎた正義もテーマ」