映画『罪の声』のタイトル

202010月に公開された映画「罪の声」は、昭和の「グリコ森永事件」をモチーフにしています。

この記事では、

  • どこからどこまでが実話?
  • 子供の声は、犯人の家族ではなかった
  • 新春けいさつかるたの全文

について、一覧表をまじえながら解説しています。

【罪の声】どこまで実話?「グリコ森永事件」との比較一覧表

『罪の声』はかなりリアルに創作してあるので、「どこからどこまでが実話なんだろう?」と気になりますよね。

分かりやすいように、一覧表を作成しました。

○がついている項目は、実話です。

「グリコ森永事件」の事実が、そのまま映画・小説に反映されています。

項目『罪の声』グリコ・森永事件
事件名(通称)ギン萬事件グリコ・森永事件
犯人グループ名くら魔天狗かい人21面相
犯人の人数9人不明(複数)
キツネ目の男実在
犯人の仲間割れ2つに分裂不明
犯人の海外逃亡曽根達雄が渡英不明
誘拐社長が誘拐
身代金請求各社請求される
青酸ソーダ混入菓子に混入
子供の声のテープ3人の子供
犯人の身内の子供の声?生島家の2人と曽根俊也犯人が否定
殺人生島秀樹と望
株価操作仕手不明(仮説)
脅迫文○(内容も同じ)多数あり
新春けいさつかるた○(内容も同じ)挑戦状で届く
脅迫された企業企業名は架空で6社グリコ、森永など6社
警察の捜査方法警視庁が指揮
事件の結末時効成立で完全犯罪

『罪の声』は、原作小説を読み映画も観ましたが、実際の「グリコ森永事件」の内容を、かなり正確に踏襲しています。

具体的には、

  • 犯行声明

  • 犯行日時

  • 犯行内容(誘拐、金銭請求、挑戦状)

  • 捜査状況

は、実際の「グリコ森永事件」の事実をそのまま用いています

創作になっているのは、株価操作や犯人グループの部分ですね。

「グリコ森永事件」は、金銭要求をしながら、結局1円も受け取っていません。

そのため、「株価操作の仕手で儲けたのではないか」という仮説がありますが、実際のところは不明のままでした。

また、「キツネ目の男」は、「グリコ森永事件」の犯人の一人ですが、分かっているのは容姿くらいで詳細不明です。

目撃情報は9000件を超えましたが、結局捕まらないまま時効となりました。

他の犯人についても、犯行現場で目撃された容姿以外は、詳細不明です。

映画では犯人が仲間(生島秀樹)とその家族(生島望)を殺害していますが、実際の「グリコ森永事件」は警察が把握している範囲では、殺人は起きていません

犯人グループが仲間割れしたかどうかなどは、不明です。

実際の「グリコ森永事件」の詳細や、キツネ目の男については、別の記事にまとめましたので、ご参照ください。

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【罪の声】どこまで実話?子供の声は犯人の家族ではなかった

映画では、犯行に声を使われた生島望と聡一郎は、人生がめちゃくちゃになってしまいます。

望の「あのテープのせいで、人生台無しや」という言葉は、とても印象的でしたね。

実際の「グリコ森永事件」で使われた子供の声も、3人いることが分かっています。

子供たちの声の声紋分析した音響研究所所長の鈴木松美さんは、「姉と弟である可能性が高い」と指摘していました。

発音にふくまれている幼稚な部分や、声の質、文章を読む調子など、多くの点で共通性を発見した

引用元『音の犯罪捜査官』鈴木松美

おそらくこの点から、『罪の声』の生島望と聡一郎というキャラクターがつくられたと推測します。

また、実際の中学生の女の子は、京都のマンションに住んでいたようです。

映画では生島秀樹が自分の子供に、犯行文を読ませて録音していました。

一方、実際の「グリコ森永事件」の犯人グループは、警察への挑戦状の中で、家族の子供の声ではないと否定しています。

詳細は、別の記事にまとめたので、ご参照ください。

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【罪の声】解説・考察記事一覧

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【罪の声】どこまで実話?新春けいさつかるたとは?

映画では、「割烹し乃」の2階の座敷で、犯人たちが「新春けいさつかるた」なるものを作って遊ぶ場面がありましたね。

嫌味たっぷりのかるたでしたが、実際におくられてきた挑戦状には、どんなかるたが書かれていたのでしょう?

新春けいさつかるた

あ あほあほと ゆわれてためいき おまわりさん
い いいわけは まかしといてと 1課長
う うろうろと 1日まわって なにもなし
え ええてんき きょうはひるねや ローラーで
お おそろしい かい人のゆめ みとおない
か からすにも あほうあほうと ばかにされ
き キーキーと ヒステリおこす 本部長
く くいもんも のどをとおらん Xデー
け けいかんは せいぎのみかたよ よいひとよ
こ こらこらと ゆうてひやあせ 民しゅ警さつ
さ さんたさん プレゼントには かい人を
し しらがふえ しわはふえても つかまらん
す すきなんや わしらけいさつ すきなんや
せ せこいやつ ひきょうなやつと やつあたり
そ そとまわり しみんのめつきが きにかかる

まだまだあるで おしえてほしかったら ゆうてくるんやで
かい人21面相

完全に警察をバカにしていますね。

関西には、お偉いさんをからかったり風刺したりする文化があるため、犯人のこういう態度を面白がる一般市民も割といたようです。

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【まとめ】『罪の声』はどこまで実話?

『罪の声』は、新聞記者の阿久津と、犯行に声を使われた曽根俊也が、「ギン萬事件」を追及する物語です。

昭和の「グリコ森永事件」を下敷きにしていますが、どこからどこまでが実話か気になりますよね。

  • 犯行声明(脅迫文や挑戦状)、犯行日時、犯行内容、捜査状況、新春けいさつかるたは、事実をそのまま映画や小説に反映させている

  • 株価操作や、犯人グループ、殺人については創作

  • 犯行に使われた子供の声は、姉と弟である可能性が高い

  • 犯行に使われた子供の声は、犯人の身内ではない(犯人談)

というのが、この記事のまとめです。

分かりやすく一覧表を作ったので、実際の「グリコ森永事件」と比較してみてくださいね!

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