ジブリ映画『風の谷のナウシカ』のタイトル画像

不朽の名作アニメ『風の谷のナウシカ』で、腐海で王蟲と会ったナウシカが「あの人が生きてるの?」と言う場面があります。

この「あの人」とは誰か、ネットでは「アスベル」と「王蟲の子」で意見が2つに分かれています。

この記事では

  • 「あの人」とは王蟲の子で、アスベルではない
  • 同じ場面の原作漫画との違い

について解説します。

この記事は、原作漫画『風の谷のナウシカ』を参照しています。

【ナウシカ】「あの人」とは王蟲の子でアスベルではない

映画『風の谷のナウシカ』で、腐海で王蟲と対話したナウシカが「あの人が生きてるの?待って、王蟲!」と言う場面があります。

「あの人」と誰か、ネットでは

  • 王蟲の子
  • アスベル

という2つの意見があり、「あの人=アスベル」だと思っている人が大半のようですが、

あの人=王蟲の子
(ナウシカが子どもの頃に飼っていた)

です。

なぜ王蟲の子と判断できるのか、理由を解説します

場面展開から、「あの人」は昔飼ってた王蟲の子

風の谷のナウシカの「あの人」とは誰か

まず場面展開から振り返ってみましょう。

  1. アスベルがトルメキア船を襲撃し、ナウシカが止めようとする
  2. 一瞬攻撃をためらったアスベルは、逆に撃墜される
  3. 混乱に乗じ、ナウシカはミトとクシャナと一緒に脱出
  4. ナウシカたちが腐海に水上着陸
  5. 王蟲がナウシカを調査
  6. 「ランランララ…」のBGMでナウシカの子ども時代のプチ回想シーン
  7. 「あの人が生きてるの?待って、王蟲」とナウシカがいい、王蟲が去る
  8. ナウシカが、蟲を殺したアスベルを助ける
  9. 流砂にのまれて、ナウシカとアスベルは腐海の底に落ちる
  10. ナウシカは、子ども時代に飼っていた王蟲の子の夢を見る 

    ナウシカの子ども時代の回想シーンの後に、ナウシカが王蟲に「あの人は生きてるの?」と尋ねます。

    上で言うと⑦ですね。

    黄色い草原と大きな木の映像が出てきます。

    腐海の底でナウシカは子ども時代の夢を見ますが、

    • 夢の映像が全部⑥の回想シーンと同じ色
    • BGMが同じ(ランランララランランラン…)

    ということから、

    王蟲と対話中の回想シーン=腐海の底で見た子ども時代の夢

    と同じ内容であることが分かります。

    ナウシカは、子ども時代にこっそり隠れて王蟲の子を飼っていました

    しかし大人たちに見つかって、取り上げられてしまいます。

    幼いナウシカは「お願い、殺さないで!」と号泣しますね。

    もしかすると殺されてしまったかもしれないということが、大きくなっても、ナウシカの心のどこかにずっと引っかかっていたのでしょう。

    セリフは出てきませんが、王蟲はナウシカに、あの王蟲の子は今も生きてると教えたのでしょう。

    だからナウシカは「あの人が生きてるの?」と訊いたのです。

    風の谷のナウシカの「あの人」とは誰か

    昔飼ってた王蟲が、今はどうしているのか、もっと知りたかったはず。

    だから「待って、王蟲!」と言ったのです。

    思いがけず生きてることが分かったので、夢の中で子ども時代の記憶がよみがえったのでしょう。

    つまり、⑥のプチ回想シーンは、⑩の夢の伏線になっているんですね。

    「あの人=アスベル」とすると場面展開が不自然

    さらに踏み込んで「あの人=アスベル」と仮説を立てるとどうなるか、考えてみましょう。

    王蟲がナウシカを調べた時に、なぜ子ども時代の回想が出てくるのか、話がつながらなくなってしまいます。

    「なんで子ども時代の回想したの?そこで回想する必要ないよね?」となるんですね。

    「あの人=アスベル」なら、アスベルを回想するのが自然です。

    そのため、やはり「あの人=昔飼ってた王蟲の子」と判断できます。

    ナウシカは蟲を「あの人」と呼んでいる(原作)

    場面展開から、あの人=王蟲の子であることが分かりました。

    しかし中には、

    • 蟲は人ではないから、「あの人」と呼ぶはずがない
    • 「あの人が生きてるの?」と言った後に、アスベルを助けたから、アスベルのことだろう

    と考えて、あの人=アスベルと判断する人もいるようです。

    まず、原作漫画の中でもナウシカは、王蟲のことを「あのひと」と呼んでいます。

    (「あのひと」と呼んでいるのは、違う場面です)

    ナウシカの生き方のベースにあるのは、人間至上主義を否定した考え方です。

    ナウシカにとっては、人も蟲も他の生き物も、序列などはなく同じように尊いんですね。

    「虫ケラのように扱う」という言い回しが日本語にありますが、ナウシカはそういう考え方をしません。

    むしろ王蟲を神聖な生き物だと思っているくらいです。

    なお、蟲は人間ではないためか、原作では「あの人」ではなく「あのひと」という表記になっています。

    ナウシカはアスベルを追ったわけではない

    ナウシカはアスベルを助けるために、ミトたちと別行動をしたわけではありません

    場面展開をもう一度振り返りましょう。

    王蟲に怪しい人間かどうか調査された時に、子ども時代のプチ回想シーンが入ります。

    そして王蟲が去ったので「あの人が生きてるの?待って、王蟲!」とナウシカが叫びます。

    • 自分が昔飼っていた王蟲の子が、今どうしてるか知りたい
    • しかも王蟲の眼が赤くなって、一斉に移動している

    気になるし、知りたいですよね。

    追いかけていたら、アスベルがいたというわけです。

    映画の冒頭で、ナウシカが王蟲に追われるユパを助けました。

    困ってる人は、敵味方なく助けようとするのがナウシカですよね。

    原作には王蟲がナウシカに言ったセリフが書かれてる

    また、原作漫画にも同じようなシーンがありますが、王蟲がナウシカに何を言ったか、セリフが明確に書かれています。

    アスベルのことを言っていません

    王蟲が何と言ったのかは、次の章で紹介します。

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    【ナウシカ】原作漫画には「あの人が生きてるの?」というセリフはない

    https://twitter.com/mikota306/status/1339913259340578816

    映画でナウシカが腐海で王蟲と出会い、心を調べられるというシーンは、原作漫画ではどのようになっているのでしょうか。

    (ここから先は、原作のネタバレを含みます)

    まず同じところは

    映画と漫画の同じところ
    • 腐海に、アスベルとナウシカと城おじたちが落ちる
    • 王蟲がナウシカを調べる
    • ナウシカがアスベルを助ける
    • ナウシカが、子ども時代に飼っていた王蟲の夢を見る

    というところです。

    違うのは

    映画と漫画の違うところ
    • クシャナは腐海に落ちていない
    • 「あの人が生きてるの?」とナウシカが言う場面はない
    • 王蟲がナウシカに言ったセリフが書かれている
    • ナウシカがアスベルを助けようとするので、王蟲はアスベルへの攻撃をやめる

    ということです。

    映画と原作漫画では、同じ場面でも展開が少し違うんですね。

    どうしてかというと、原作には映画に出てこない「土鬼(ドルク)」という大国が出てくるため、もっとストーリーが複雑なのです。

    ちなみに、王蟲はナウシカに何と言ったのでしょう?

    「コノ森ハ モハヤワレラヲ 必要トシテイナイ」

    引用:『風の谷のナウシカ』(1巻)

    この王蟲の言葉から、ナウシカは「腐海が世界を浄化している」ことに気づくのです。

    ちなみに、映画と原作漫画では「王蟲が風の谷を襲おうとした後」の展開が違います。

    • 王蟲のセリフは、映画のストーリーには必要ない
    • しかし、ナウシカが子どもの頃に王蟲を飼っていた話は映画でも必要

    であるため、映画の王蟲がナウシカに言った内容が違っているのです。

    また、原作では王蟲がナウシカを調べた後、腐海が騒がしくなります。

    ミトが「近くで蟲を殺した者がいるのか」と言い、ナウシカが助けに行くんですね。

    行ってみたら、アスベルだったというわけです。

    最初は二人で腐海を逃げ回っていますが、王蟲がナウシカを助けます。

    そしてナウシカがアスベルを助けたいと願っているため、王蟲はアスベルを殺しませんでした。

    王蟲はこう語ります。

    小サキ者…ワガ一族ハ オマエヲ昔カラシッテイルヨ……

    ワガ一族ハ個ニシテ全 全ニシテ個

    時空ヲ超エテ 心ヲ伝エユクノダカラ

    引用:『風の谷のナウシカ』(1巻)

    そして、ナウシカが子ども時代に王蟲の子を飼っていた夢のシーンになります。

    王蟲たちは仲間に起きた出来事は、時空を超えて一族で伝え合っているわけです。

    昔、王蟲の子を飼っていたナウシカを、王蟲全体が世代を超えて知ってるんですね。

    言ってみればナウシカは、王蟲の間では超有名人

    蟲を大切にするナウシカを、王蟲は殺さずに助け、ナウシカが助けようとしたアスベルも助けたんですね。

    映画では王蟲は言葉をしゃべりませんが、王蟲の生態や考え方は、映画にも反映されています。

    「個にして全、全にして個」であるために、映画でナウシカが出会った王蟲も、ナウシカが昔飼っていた王蟲を知っていたのです。

    原作漫画は、映画よりもはるかに内容が濃くて面白いよ!

    漫画読んだ時に「どうして今まで読まなかったんだろう?」と思ったくらいだよ

    ぜひ読んでみてくださいね!

      読まずに死ねない面白さ!


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        ナウシカの「あの人とは誰か」のまとめ

        この記事では、映画『風の谷のナウシカ』で、ナウシカが王蟲に「あの人が生きてるの?」という場面について解説しました。

        「あの人」とは誰なのか、ネットでは意見が「王蟲の子」「アスベル」と見解が分かれているようです。

        • 「あの人」=ナウシカが昔飼ってた王蟲の子
        • 場面展開から「王蟲の子」と判断するのが自然
        • 原作でナウシカは、蟲を「あのひと」と呼んでいる
        • 原作では、王蟲がナウシカに言ったセリフが書いてある(アスベルのことではない)
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