ディズニー映画『塔の上のラプンツェル』には、若さと美しさに執着するマザー・ゴーテルが登場します。
これまでのディズニー映画だと、「悪い魔法使い」のポジションですが、ゴーテルは魔女ではありません。
珍しい絵の具を買い与えたりと、「ひどい人・悪人」と言い切れないところもあります。
「ゴーテルは、ラプンツェルに愛情があるの?」
「ゴーテルは意外といい人?悪い人じゃない?」
とモヤモヤしますよね。
実は、ゴーテルには従来の継母とは違う、とても複雑なキャラクター設定がしてあるのです。
この記事では
- ゴーテルには愛情があった?
- 監督の「意地悪でないユニークな母親」の意味は?
- ゴーテルは、ディズニー従業員のアンケートから生まれた
などについて、解説します。
【塔の上のラプンツェル】ゴーテルに愛情はあった?悪役にしてはいい人?
#塔の上のラプンツェル
— アンク@金曜ロードショー公式 (@kinro_ntv) March 23, 2022
金曜よる9時
ラプンツェルに母親と信じさせ魔法の髪の力を独り占めする悪女 #ゴーテル
本当の姿は400歳の老婆‼️#ラプンツェ〜ル髪の毛下ろ〜して〜〜 pic.twitter.com/yYE0h2Iskf
『塔の上のラプンツェル』のゴーテルは、
従来のディズニー映画の「継母」や「悪い魔法使い」とは少しイメージの違うキャラクターです。
「悪人と言い切れない不思議さ」がありますよね。
それもそのはず、キャラクター設定の段階で、かなり複雑に練られた登場人物なのです。
ゴーテルはディズニー従業員へのインタビューから生まれた
ゴーテルは、魔女ではありません。
しかし若さと美しさに執着して、ラプンツェルの髪の魔法を利用し続けています。
ゴーテルとラプンツェルの奇妙な関係を描くために、
ハワード監督とグレノ監督は、インタビューアンケートを行っています。
ディズニーの従業員女性に「あなたと母親の関係について教えて下さい」というインタビューをしているのです。
結果、母親というものは「はた迷惑で、陰気で、子どもを制限する」という特徴をつかんだのだとか。
監督は二人とも男性なので「母親と娘の関係」に結構驚いたそうです。
「かなりクレイジーな話があって、強烈だった」と言っています。
それでも「でも私は母を愛してるんです」と言う娘たちが印象的だったようです。
「インタビューから得たものは、全部ゴーテルのキャラクターに入れました」と言っているんですよね。
たとえば、ゴーテルがラプンツェルに「ちょっと、ぽっちゃりしたわね」というシーンがあります。
あのセリフも、ある従業員母子の実際の会話なのだそう。
だからゴーテルという母親に、妙なリアリティがあるのでしょうね。
監督は「意地悪でないユニークな母親」
興味深いのは、2011年1月の「DEN OF GEEK」のインタビューで、グレノ監督が
「マザー・ゴーテルは意地悪ではありません。非常に受動的攻撃的でなければなりません」
と言っていることです。
「意地悪キャラじゃないんだ!」と意外ですよね。
しかしグレノ監督は、「DVDizzy」のインタビューでは
「ゴーテルは魔女ではないので、力はありませんが、非常に邪悪な心を持っています」
とも言っているのです。
かなり複雑な人物設定ですよね。
もう一人の監督ハワードは、
「ゴーテルは母性についてあまり理解していない。非常にユニークな母親としてのスタイルをもっている」
と言っています。
また、監督たちは「みんなが期待するような悪役ではない」というようなことも語っています。
ゴーテルは魔女ではないので、十分な魅力や知性、カリスマ性をもったキャラクターに仕上げたそうです。
声優は「信じられないほど温かくて愛情がある」
ゴーテルの声優を演じたのは、ドナ・マーフィです。
声優ですから、ゴーテルになりきって演じなければなりません。
ドナ・マーフィは、ゴーテルをどういう人物だと解釈していたのでしょうか?
ドナは「ASSIGNMENT X」のインタビューで、
「ゴーテルは自己中心的な動機がありましたが、信じられないほど温かくて愛情があります」
と語っています。
ドナは、ゴーテルを「自分勝手な人だけど、温かい愛情もあった」と思って演じていたんですね。
SNSなどでは、最後に塔から落ちて死んだゴーテルを「かわいそう」と思う人も一定数いることが分かります。
やはり、監督や声優のキャラクター設定によるところが大きいのではないでしょうか。
ゴーテルはなぜラプンツェルに優しくしたのか?
監督や声優のインタビューから、ゴーテルは「単なる意地悪キャラ」ではないことが分かります。
かなり綿密に、微妙で複雑なキャラクターに作ったんですね。
ゴーテルは、魔女ではないため魔法が使えません。
そのため、自分の知性とノウハウで、ラプンツェルを塔に閉じ込めておかなくてはなりません。
「逃げだしたいと思わないようにする」ために、ゴーテルはあれこれ手を尽くしています。
殴るなどの暴力をふるわれると、誰だって逃げ出したいですよね。
しかし、ゴーテルは「珍しい絵の具」を与えたり、ゲームや料理などを教えることで、
「塔にいれば十分」と思えるようにして、
ラプンツェルを塔に引き留めていたわけです。
もちろん、外がどれだけ危険かも吹き込み「大好きよ」と何度も言います。
「私は愛されてる」とラプンツェルに思い込ませることで、支配しているんですね。
カメレオンのパスカルが、ラプンツェルを塔の外へ連れ出そうとしますが、
ラプンツェルは「塔の暮らしも悪くないわ」と割と満足していることが伺えます。
ヒステリーと暴力で支配するのではなく、ラプンツェルを適度に満足させることで支配しています。
ゴーテルは暴力を振るわず「大好きよ」と飴を与え、
「あらいたの?」「ぽっちゃりしたわね」などの意地悪な鞭をいれつつも、
ラプンツェルを上手にコントロールしていたんですね。
ただ、すべては「魔法で若さを保つため」でした。
なので、一視聴者としては「それは愛情とは言えないよね」と思ってしまいます。
「暴力を振るわない=愛情」ではないですしね。
どちらかというと、「ゴーテルの自己愛」が描かれてるように思います。
結論としては、
「若さを保つために、魔法が使えないゴーテルは、ラプンツェルを塔に閉じ込めようと、
暴力を振るわず、なるべく優しくしようとした」
ということだと思います。
下心のある優しさだったということですね。
【塔の上のラプンツェル】最後に手を伸ばして助けようとしたのは何故?
来週の金曜ロードSHOW!は、#ディズニー・プリンセス の中でも圧倒的人気を誇る「#塔の上のラプンツェル」を放送します‼️
— アンク@金曜ロードショー公式 (@kinro_ntv) April 24, 2020
もちろん‼️本編ノーカットご家族そろってご覧下さい#金曜ロードショー#ディズニー#ラプンツェル pic.twitter.com/sC7E9USWXX
映画のラストで、カメレオンのパスカルが足をひっかけたために、ゴーテルは塔から落ちます。
ラプンツェルは手を伸ばしましたが、届かず助かりませんでした。
ラプンツェルは、なぜゴーテルに手を伸ばしたのでしょうか?
思うに、とっさに手を伸ばしたのではないかと思います。
いろいろ考える時間はなかったはずです。
つまり「ラプンツェルは、ゴーテルもとっさに助けようとする人柄」という描かれ方をしているんですね。
ラプンツェルは、自分が王女だと気づいた時「もう二度とあなたに自分を利用させない」とゴーテルに言いました。
最後は、ユージーンを助けるために、「助けてくれたら、あなたと一緒にいる」と決意しましたね。
ラプンツェルは、自分を犠牲にしても他人を助けようとする人。
誘拐されて18歳まで人生を奪われてしまいましたが、ゴーテルとの生活も悪いことばっかりじゃなかったのでしょう。
「見殺しにするほどひどかったわけではない」という気持ちも、演出されているのかもしれませんね。
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長編 | 塔の上のラプンツェル | ● | ● |
短編 | ラプンツェルのウェディング | ● | |
オリジナル ムービー | ラプンツェルあたらしい冒険 | ● | |
アニメーション シリーズ | ラプンツェル ザ・シリーズ | ● | |
ラプンツェル コロナ王国のひとコマ | ● |
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【まとめ】ラプンツェルのゴーテルの愛情まとめ
監督は、魔女ではないゴーテルのキャラクター設定のために、ディズニー従業員にインタビューした
監督は、ゴーテルを邪悪な面がある一方、意地悪ではないユニークな母親としてキャラ設定した
声優は、ゴーテルを「自己中心的だが、信じられないほど暖かくて愛情がある」と解釈して演じた
魔法の使えないゴーテルは、ラプンツェルを塔から出さないために、ある程度優しくして満足させることで支配した
ラプンツェルが、最後に塔から落ちるゴーテルに手を伸ばしたのは、とっさの判断
ゴーテルとの生活も悪いことばかりではなく、「見殺しにするほどひどかったわけではない」という演出かも